2026-08-07

本屋が畑を持ったら。はじまりの春と、最初の夏。|VBファームの農業日誌

 

「本で読んだことを、やってみよう。」

 

そんな考えから、VBファームは始まりました。

普段は、お客様からお預かりした本を次の読者へつなぐことが私たちの役割です。

新しく何かを「生み出す」機会はあまりありません。

だからこそ、本で読んだことを、自分たちの手でやってみたい。いつかその実りも皆さまへお届けできたら。
―― そんな思いも込めて、身近な農業に挑戦することにしました。

やってみたいことは、たくさんありました。

    • 野菜を育てること。
    • 和紙の原料になる、こうぞ(楮)を育てること。
    • 果物やハーブを育てること。
  • 収穫したものを誰かへ届けること。
  • 子どもたちが土に触れられる機会をつくること。
  • 菌ちゃん農法に挑戦してみること。
  • 堆肥をつくって、土から育ててみること。

 

どれも、「いつかできたらいいな」と思うことばかりです。

まず始めたのは、畑をつくることでした。

最初は、土を耕すところから。

 

 

最初に手にしたのは、普通のクワ。

土を起こしてみると、思っていた以上に固く、なかなか思うようには進みません。

4本クワを使ったり、耕運機の力も借りたりしながら、少しずつ畑らしい景色ができていきました。

 

本を片手に、まずはやってみる。

 

 

畑を始めてみると、知らなかったことばかりでした。

「畝って、ただ土を盛っているだけじゃなかったんだ」
「マルチって便利だけど、いいことばかりじゃないんだ」

本で読んだり、言葉だけは知っていたつもりでも、実際にやってみると見え方がまったく違います。

畑や田んぼが身近にある長野県上田市に住んでいても、畑のことは知らないことばかり。

そんな小さな発見の連続でした。

野菜づくりの本を読むと、畝の立て方や支柱の組み方、親づる・子づるの育て方、間引きの方法など、本によって書かれていることが少しずつ違います。

病害虫について詳しく書かれている本もあれば、育て方を中心に紹介している本もあります。

「どれが正解なんだろう?」と思うこともありましたが、それぞれの地域や気候、土に合わせた考え方があることを知りました。

本や動画を参考にしながら、実際に試してみる。

その繰り返しの中で、自分たちの畑に合う方法を少しずつ見つけていくことも、VBファームの楽しみの一つになっています。

 

トウモロコシの種って、赤くなってるんだ。

 

トウモロコシの種が赤いことも、その一つです。

「どうして赤いんだろう?」と思って調べてみると、種を守るための工夫だと知りました。

 

葉っぱって、こんなに大きくなるんだ。

 

野菜は種類によって育ち方もさまざまです。

葉っぱの形や大きさも違っていて、毎回新しい発見がありました。

 

ぐんぐん伸びるキュウリのために。

 

キュウリは特に成長が早く、つるが伸び始めると支えになるネットが欠かせませんでした。

 

数日で、景色が変わる。

 

数日見ないだけで景色が変わるほどで、「昨日までこんなじゃなかったよね」と話すこともよくありました。

 

小さな芽に、思わず歓声。

 

 

最初に植えた野菜は、ジャガイモでした。そして、一番最初に芽を出したのも、ジャガイモです。

VBファームで迎えた、最初の小さな喜びでした。

 

土の中から、次々と。

 

収穫の日、土の中から次々と姿を見せるジャガイモに、自然と笑顔になります。

 

収穫したジャガイモは、しばらく熟成中。

 

収穫したジャガイモを社内で保管していると、こんな声も聞こえてきました。

「かわいいね。」
「ここで保管していて大丈夫かな。」

 

畑を始める前は、みんながこんなにもジャガイモを可愛がるようになるなんて思ってもいませんでした。

今は社内の涼しい場所で熟成中。

もう少ししたら、「いもパーティー」ができたらいいね、と話しています。

 

思い通りにはいかないことも。

 

植えたのは、ハツカダイコンの種。

 

「ハツカダイコン」という名前なのに、収穫まで1か月以上かかったラディッシュ。

暑い日に植えたこともあってか、一部のトマトは枯れてしまいました。

暑さに負けず、頑張っているトマトも。

 

楽しみにしていたズッキーニやトウモロコシは、虫や動物たちに先を越されてしまいました。

どうやら、私たちだけじゃなく、動物たちにも人気だったようです。

 

正直、悔しい気持ちにもなりました。

でも、それ以上に、「せっかくここまで育ってくれたのに」と、野菜に申し訳ない気持ちの方が大きかったように思います。

 

自然と付き合う毎日。

 

 

水やりは基本的に朝。

雨が降ると、「今日は水やりをしなくて大丈夫だ」とほっとしたり、「野菜にとっては恵みの雨だな」とうれしく思えたりしました。

思い通りにならないこともありましたが、それも自然と向き合う時間でした。

 

花粉も虫たちの力を借りながら自分たちでも。

 

ズッキーニには受粉が必要なこと。

野菜によって集まる虫が違うこと。

一つ知るたびに、「まだまだ知らないことがたくさんあるな」と思わされます。

最初は怖かったハチも、今では受粉を手伝ってくれる頼もしい存在です。

スーパーに並ぶ野菜も、当たり前にそこにあるものではないのだと、自然と見る目が変わりました。

毎日の水やりや手入れだけでなく、気候や虫、病気とも向き合いながら、大切に育てられてきたものなのだと実感しています。

 

野菜だけじゃない、VBファーム。

 

楮の、植え付け作業。

 

VBファームでは、野菜だけを育てているわけではありません。

和紙の原料になる楮も育てています。

本を届けるだけでなく、いつか本そのものも自分たちの手でつくれたら。

そんな少し壮大な夢を思い描きながら育てています。

レモングラスを植えたのも、「いつかNABO(実店舗)でハーブティーにできたらいいね」という話がきっかけでした。

たくさん収穫できる野菜を育てることもできたかもしれません。

それでも、「面白そうだからやってみよう。」と思えることを少しずつ形にしていく。

そんな畑でありたいと思っています。

土の中の微生物の力を借りて土を育てる「菌ちゃん農法」や堆肥づくりも、まだこれからです。

完成した畑ではなく、「次はこれをやってみよう。」が増えていく畑です。

 

白ナスも、育てました。

 

白ナスや紫色の縞のあるナスなど、品種によって姿もさまざま。

育ててみることで、それぞれの違いを知る楽しさもありました。

可愛いナスたちについては、また改めてご紹介できたらと思っています。

 

同じキュウリでも、こんなに違う。

 

ツルツルした「フリーダム」と、イボイボした「シャキット」。

食感や見た目にも違いがあり、それぞれのおいしさがありました。

 

春から夏へ。少しずつ増えた収穫。

 

 

春に植えた野菜たちは、少しずつ収穫の時期を迎えました。

ジャガイモやキュウリ、ナス、ピーマン、トウモロコシなど、気づけば食卓を彩れるほどたくさんの野菜が育っていました。

毎日のように収穫する時間も、VBファームの楽しみの一つになっています。

小さな実が付き、それが少しずつ大きく育っていく。

その変化を見ること自体が、毎日の楽しみでした。

 

育てた野菜を、NABOへ。

 

 

収穫した野菜は、スタッフや、バリューブックスが運営する実店舗「NABO」にも届けました。

「おいしそう…!!」
「野菜がきれいだね。」
「大事に育ててきた証拠だね。」
「バリューブックス……ついに畑まではじめたんですか……?」

 

そんな声をかけてもらいました。

野菜だけでなく、畑で過ごしてきた時間や、一つひとつの発見まで受け取ってもらえたような気がして、とても嬉しくなりました。

 

まだ、はじまったばかり。

 

 

「本で読んだことを、やってみよう。」

 

その一歩から始まったVBファーム。

最初の収穫を迎えたばかりです。

この先には、採れた野菜でBBQをしたり、熟成したジャガイモでいもパーティーをしたり、ニンジンやダイコン、ネギなどの秋野菜にも挑戦したり。

春に思い描いていたことが少しずつ形になり、新しい「やってみたい」がまた生まれています。

この先も、本がどんなものをつないでくれるのか。

その続きを、またお届けできたらうれしいです。

posted by 今井 綾那

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