2026-04-30

#Books for Children ‐読み終えた本がつなぐ、子どもたちの今と未来- 公益財団法人ゴールドリボン・ネットワーク

小児がん支援の現場を聞く

 

5月5日は、こどもの日。

子どもたちの幸せや健やかな成長を願うこの日に、さまざまな事情のなかで日々を過ごす子どもたちに思いを向けるきっかけを届けたい。そんな思いから、このキャンペーンが生まれました。

読み終えた本を通じて寄付ができる「チャリボン」では、本の買取金額を子ども支援に取り組む団体へ届けることができます。

あなたの一冊が、支援を必要としている子どもたちの力になります。

本を通じてできる、もうひとつの応援のかたちを、ぜひ知ってください。

 

チャリボンの仕組み

この記事で紹介するのは「公益財団法人ゴールドリボン・ネットワーク(以下、GRN)」

小児がんの子どもたちを取り巻く現実や、そこに寄り添う支援のかたち、そして私たちが本を通じてできることについて、広報を担当する仲田さんにお話を伺いました

活動の原点にあった、一篇の手記

団体のウェブサイトによれば、団体の原点には、名誉会長・松井秀文さんの原体験があります。

1973年、東京大学経済学部の会報誌に寄せられた一篇の手記。そこには、小児がんで娘を亡くした父親の悲しみと、治療に伴う経済的な困難が綴られていたそうです。その文章が長く心に残り、のちの設立へとつながっていきました。

2006年、松井さんはピンクリボンの募金パーティーでその手記を思い出し、「こういう理不尽な病気に対して何かできないか」と設立を決意したといいます。

GRNが掲げるのは、「小児がんの子どもたちが安心して笑顔で生活できる社会の創造」。その理念のもとで、どのような支援が行われているのかを伺いました。

支援しているのは、治療の“その先”まで

 

GRNの活動の中心にあるのは、四大事業です。

ひとつ目は、「交通費補助金制度」
遠方での治療が必要となる小児がんの子どもたちとその家族を支えるための「交通費補助金制度」。病院までの交通費に加え、付き添いに必要な宿泊費なども補助の対象となっており、治療を受けるために生じる経済的負担の軽減をめざしています。
小児がんは治療できる専門病院が限られているため、遠方まで移動しなければならない家庭も少なくありません。
昨年、交通費補助を利用した家庭の平均移動距離は381.3キロ。中には、1,000キロ以上の移動を余儀なくされるご家庭も少なからずあったといいます。

ふたつ目は、「奨学金制度」
小児がん経験者で、大学などへの進学を希望しているにもかかわらず、経済的な理由で進学をあきらめることのないよう、返済不要の給付型奨学金制度を実施しています。

三つ目は、「研究助成制度
小児がんの治癒率向上のための研究に加え、小児がん患児・経験者のQOL向上につながる研究も支援しています。

そして四つ目が、「ひとり親世帯支援制度」
付添いのため就業の継続が難しく収入が途絶える、入院による支出が増える等、経済的な影響を受けているひとり親世帯に対し、一時金を支給しています。

そのほかにも、ニット帽子のプレゼントや患者会への助成、啓発活動など、支援は多岐にわたります。治療だけでなく、その前後にある暮らし全体を見ていることが、この団体の大きな特徴です。

 
「松井氏による講演の様子」

 

少人数だからこそ、見える変化がある

 

GRNはさまざまな支援活動や啓発イベントを行っていますが、事務局のスタッフは少人数なのだそう。でも少人数だからこそ風通しが良く、みんなで話し合い、大きなイベントの際にはボランティアの方の協力も得ながら事務局総出で運営するそうです。

スタッフ一人一人が利用者と向き合うからこそ、現場のニーズをすばやくつかみ、必要に応じて支援のかたちを見直せる面が強みだと感じました。

 

「コンサート会場での募金活動」

支援の制度も、社会に合わせて変わっていく

 

「近年は、治療法の変化や物価高など、子どもたちと家族を取り巻く状況にあわせて、支援制度もアップデートされています。GRNでは分子標的薬の処方など、入院を伴わない(外来で行う)抗腫瘍治療も重要な選択肢となっている事情に鑑み、2025年から交通費助成の対象の一部を、これまでの「抗腫瘍治療の診断(セカンドオピニオンを含む)や入院治療」に加え、「主治医が必要と認めた通院での特別な抗腫瘍治療」にも拡大しました。加えて、物価高による負担増をふまえて交通費補助金の上限額を引き上げ、ひとり親世帯支援制度でも対象世帯収入の見直しを行っています。」

小さな団体だからこそ、現場の変化にあわせて臨機応変に動く。 どんな負担が重くなっているかを見ながら、必要な制度を少しずつ整えている様子が伝わってきました。

 


「ゴールドリボンウオーキング2026」

GRNの役割は、必要な人に支援を届けること

 

支援制度があっても、必要な人に情報が届かなければ意味がない——そんな思いが印象に残りました。

交通費補助も、奨学金も、研究助成も、存在を知らなければ利用にはつながりません。だからこそ、必要な人に情報を届ける活動も欠かせないのだそうです。

実際、支援事業に関する問い合わせや支援件数も増えており、また、研究助成の応募および助成件数も増加しているとのこと。活動を知ってもらうためだけでなく、支援そのものを届けることが大切である。その思いが強く伝わってきました。

 

「活動を支えるスタッフの皆さん」

読み終えた本が、誰かの通院費や奨学金になる

今回のキャンペーンを通じて寄せられた本は、バリューブックスの「チャリボン」を通じて寄付へとつながります。

仲田さんは最後に、

「小児がんは、いまでは全体の7〜8割が治ると言われるようになりました。けれども、その一方で今なお子どもの病死原因第一位という現実があります。

私たちの活動の原点である『小児がんを治る病気に』ということはもちろんですが、治すための抗がん剤や放射線の影響によって、小児がん経験者の約半数が抱えているとされる晩期合併症に対しても、支援が必要です。またその現実をより多くの方に知っていただく情報提供と理解促進にも引き続き力を入れていかなければならないと考えています。
みなさまからのご寄付は、そうした活動を支える大きな力になります。」

と、改めて話してくれました。

本を送ることは、とても日常的な行動かもしれません。
けれど、その日常の行動が、病気と向き合う子どもたちや家族にとって、確かな支えになる。

本を送ることも、本を読むことも、この課題を知り、支えるきっかけになる。そんなふうに、このキャンペーンが広がっていくことを願っています。

チャリボンで本を送って、公益財団法人ゴールドリボン・ネットワークの活動を応援しませんか?

 

もっと知りたい方へ━このテーマを知るための3冊

 

『最後は一日中抱っこさせて 短い命の輝かせ方』石井光太 著

難病の子どものQOL向上に向き合う人々を取材した作品。ゴールドリボン・ネットワーク設立の背景につながる話も収められています。

『16歳のモーツァルト 天才作曲家・加藤旭が残したもの』小倉孝保 著

脳腫瘍と向き合いながら16歳で亡くなった少年の生涯を追ったノンフィクション。ひとりの人生を通して、小児がんの現実に触れられます。

『がんを生きる子 ある家族と小児がんの終わりなき戦い』松永正訓 著

診断から治療、家族の葛藤まで、小児がんと向き合う過程を深く知ることができる一冊。

posted by 深井望

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