2026-05-01

#Books for Children -読み終えた本がつなぐ、子どもたちの今と未来‐ 公益社団法人こどものホスピスプロジェクト

子どもらしい時間を支える場所。

 

5月5日は、こどもの日。

子どもたちの幸せや健やかな成長を願うこの日に、さまざまな事情のなかで日々を過ごす子どもたちに思いを向けるきっかけを届けたい。そんな思いから、このキャンペーンが生まれました。

読み終えた本を通じて寄付ができる「チャリボン」では、本の買取金額を子ども支援に取り組む団体へ届けることができます。

あなたの一冊が、支援を必要としている子どもたちの力になります。

本を通じてできる、もうひとつの応援のかたちを、ぜひ知ってください。

チャリボンの仕組み

 

この記事で紹介するのは「公益社団法人こどものホスピスプロジェクト

命を脅かす病気のある子どもと家族のための場所です。活動の背景や大切にしている思い、本を通じた支援の意味について、広報の安在さんにお話を伺いました。

 

病院でも、入所施設でもない。子どもが子どもでいられる場所

 

TSURUMIこどもホスピスは、2016年に大阪・鶴見緑地の一角に誕生した、日本初のコミュニティ型こどもホスピス。寄付によって支えられ、利用料は無料。病院や福祉施設とは少し違う、子どもと家族が安心して過ごせる居場所となっています。

安在さんは、まず「ホスピス」という言葉のイメージとの違いを話してくださいました。

「大人のホスピスのような“最期を迎える場所”を思い浮かべる方も多いんですが、私たちは入所施設ではありません。病院でもなく、コミュニティ型の施設なんです」

治療の合間に一時退院できても、すぐに学校や園に戻れるとは限りません。感染への不安や体力面の問題、見た目の変化などから、元の生活に戻ることが難しいこともあります。そんなとき、こどもホスピスは「安心して遊びに来られる場所」になります。

「学校には行けないけれど、ここには来られる。体力に合わせて過ごせるし、その子に合わせて寄り添うことができるんです」

活動の根っこにあるのは、「深く生きる」という言葉。

「『病気だからできない』ではなくて、『病気だけど、できること』を探していく。私たちは看護師や先生としてだけじゃなく、友人や仲間として寄り添いたいと思っています」

 

 

 

支えているのは、子ども一人ではなく家族全体

取材のなかで特に印象に残ったのは、こどもホスピスが子ども本人だけでなく、家族全体を支える場所だということでした。 

現在、TSURUMIこどもホスピスでは年間およそ250世帯が利用しており、活動の柱は日中の利用と宿泊利用です。旅行に行くことが難しい家族にとって、「泊まれる」という体験そのものが大切な時間になることもあります。 

また、近年は10代~20代の利用も増えているそうです。

「大人でもない、子どもでもない世代の子たちは、すごく孤立しやすいんです。学校に戻ろうとしても、もうコミュニティができあがっていて戻りづらい。だから、10代~20代の子たちへの関わりも大切にしています」

そのため、10代以上の専用のエリアも整備し、年齢に応じた居場所づくりを進めています。 


そして、もうひとつ大切にしているのが、きょうだいへの支援です。

「親御さんの意識は、どうしても病気のあるお子さんに向きます。でも、きょうだいにもそれぞれの人生があります。我慢したり、寂しさを抱えたりしていることも多いので、きょうだいも同じように遊んで過ごせることを大事にしています」

病気のある子どもだけでなく、その周りにいる家族みんなの時間を支えている。そこに、こどもホスピスの大きな特徴があると感じました。

 

経済的な理由で、来られない子をつくらないために

 

活動を続けるなかで、いま大きな課題になっているのが物価上昇の影響です。
子どもの付き添いのために親が休職や退職をすることも多く、家庭の収入が減るなかで、「行きたいけれど行けない」ということが起きています。

「車を手放したご家庭もありますし、遊びに来るための費用が出しづらいこともあります。でも、ここに来られない理由が経済的な理由であってはいけないと思っています」

そのため、寄付をもとに福祉タクシーの手配なども行っているそうです。ただ、本当はもっとやりたいことがあっても、実現には資金が必要です。

「寄付が減ってきている一方で、やりたいことは本当に多いんです。そのジレンマはすごく感じています」

 

安在さん自身も、この場所に支えられた一人だった

 

安在さんは、かつてTSURUMIこどもホスピスを利用していたご家族の一人でもあります。お子さんは脳腫瘍を患い、2年前に亡くなられたそうです。 

「最後のころは痛みが本当に強くて、30分に1回くらい痛み止めを使わないといけない状況でした。でも、こどもホスピスに来ると、2時間くらい痛み止めを飲まずに過ごせたんです。本当に最後まで、子どもらしい時間を過ごさせてもらったなと思っています」

そして、その時間は残された家族のこれからにもつながっていくと話してくださいました。

「あの子らしく過ごせた、という思い出があることで、残された家族も少し前を向いて生きていける。ご寄付をいただいて活動ができていることで、救われている家族は本当にたくさんいると思います」

 

本を読む人の思いが、子どもたちの時間につながっていく

 

TSURUMIこどもホスピスがチャリボンに参加したのは2022年12月から。これまでに、チャリボンを通じて集まった寄付は約60万円にのぼるそうです。 「本を読む方って、応援してくださる世代の方とも重なるところがあるなと思ったんです。大切に読んできた本が、別の形で力になる。そういう支援の形って素敵だなと思って参加しました」

寄付金は、施設の運営費や子どもたちのケア、修繕費などに活用されています。10年という節目を迎えた今、こうした支援は活動を続けていくうえで欠かせないものになっています。 

取材の最後、バリューブックスの会員の方へ向けて、安在さんはこんな言葉をくださいました。

「まずは、こういう活動があることを知っていただけたらうれしいです。もし何かしたいなと思ってくださったら、近くだったらぜひ見学にも来ていただきたいです。来ていただくと、たぶんイメージも変わると思うので」

読み終えた本を手放すことが、誰かの時間を支えることにつながっていく。
その静かなつながりの確かさを、今回の取材であらためて感じました。

 

 

取材を終えて

 

取材の終盤、安在さんは画面越しに施設のなかを見せてくださいました。
廊下には本が並び、10代の子どもたちが過ごせるスペースにはゲームや本が置かれ、大きな部屋では卓球を楽しもうとしている様子も見えました。

そこにあったのは、静かで閉ざされた場所というより、誰かの暮らしの続きにある場所でした。
「病気だからできない」ではなく、「病気だけどできること」を一緒に探していく。その時間を支えているもののひとつが、誰かが読み終えた本です。

あなたの本棚にある一冊もまた、子どもたちの“今を生きる時間”につながっていくかもしれません。


 

チャリボンで本を送って、こどものホスピスプロジェクトの活動を応援しませんか?

 

活動をもっと知るために

インタビューのなかで、安在さんは、こどもホスピスについて知る入口として書籍や動画も紹介してくださいました。

子どもホスピスの奇跡

TSURUMIこどもホスピスが生まれるまでの歩みや、そこで重ねられてきた時間を知ることができる一冊です。

ヘレンハウス物語

世界で初めてのこどもホスピスとされる「ヘレンハウス」を通して、その理念や原点にふれられます。


TSURUMIこどもホスピス公式YouTub
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ご家族や医師の声、施設の雰囲気などを動画で知ることができ、活動をより身近に感じられます。

どれも活動の背景や、そこで過ごす家族の思いに触れられる内容です。

posted by 深井望

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