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本に触れる。
その小さなきっかけを届ける
ウェブマガジン。

2019-01-01

バリューブックス 、2018年のこと。

 

 

あけましておめでとうございます。

 

みなさま、良いお正月をお過ごしでしょうか。

新しい年のはじまりに、こうしてこの記事に目をとめていただきありがとうございます。

 

2018年、バリューブックスではいろんなことがありました。SNSやメールマガジン、そしてお買い上げいただく本と一緒に届ける「ぼくたちが本を届けながら考えていること」など、その都度かたちを変え、バリューブックスの日々の活動をお伝えしてきましたが、総集編とでもいいましょうか、新しい年を迎えたこのタイミングで少しずつ振り返ってみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

全国へ本を届ける、ブックバス

 

 

まずは、昨年から本格的に全国の街を走り始めた「BOOK BUS」について。

 

いま全国では1日に1軒のペースで本屋がなくなっており、全国の1/5の街には本屋が1軒もないといわれています。けれど「本屋」という場所で、本と触れ合うことはいつだって特別な喜びがあります。バリューブックスは、インターネットで本を売るのがメインの会社です。しかし、本屋のない街に本を届けるために、自分たちはなにができるのだろうと考え、移動書店「BOOK BUS」をつくることを決めました。

自分たちの手で改装した中古のバスには、絵本からビジネス書までさまざまな本が並びます。

 

 

 

 

 

今年6月にはスタッフの地元である東北遠征ツアーを決行し、学童クラブや図書館、マルシェを巡り、子供からお年寄りまで、世代を超えて本との触れ合いを楽しんでいただきました。その様子はなんとバリューブックス初のドキュメンタリー映像(!)となって、無料配信されています。

 

バリューブックスが本を届けた先で見た景色を描く、47分間の本の旅は、こちらからご覧くださいませ。

 

「BOOK BUSは本を届ける旅に出る」

 

 

その後も「BOOK BUS」の活動は続きます。イベント出店をメインに全国各地を周りながら、

8月には、豪雨による大きな被害を受けた広島・岡山へ。自宅だけでなく、図書館にある本もすべて流されてしまうほどの被害を受けた地域もあり、避難所で不安な日々を送る人々に、ほんのひとときでも心休まる時間を提供できたらと、本の寄贈を行いました。

 

ブックバスにできること-西日本豪雨災害ボランティア編-

寄贈した本は、お客様からお送りいただいたもののうち、市場では価値がつかず、買い取ることができなかった本たち。本来ならば古紙リサイクルにまわされるものですが、「BOOU BUS」を通じて、新たな読者のもとへ届けることができました。

 

せっかくお送りいただいた大切な本、たとえ販売できなかったとしても、できる限り次の読み手へ、つなげていくことができるように。

 

 

 

 

 

街がつながる、「Book Meets Smile」

 

 

 

スターバックスが長野県にやってきて、15周年の機会に「地域のためにできること」を考え、バリューブックスと長野県内20店舗のスターバックスが合同で期間限定で開催したチャリティープロジェクト「Book Meets Smile」

 

本プロジェクトは、スターバックス各店に設置した回収ボックスにて、古本を集め、買取金額を長野県上田市で活動する「NPO法人リベルテ」へ寄付する、というもの。3ヵ月間の取り組みで集まった本の数は、13,000冊! 寄付金額は33万円にものぼりました。支援金はリベルテのメンバーさんが「自由に表現」するための画材費として届けられました。

 

本の寄付にご協力いただいたお客様ひとりひとりの想いや、スターバックスのパートナーさんたちが呼びかけを通じてリベルテさんを応援していく姿勢に「お金以上の価値」を感じたプロジェクトでした。

 

リベルテさんの活動は、こちらで詳しく紹介しております。


「何気ない自由」を描く、街のアーティスト。

 

 

 

お客様との新たな接点を

 

バリューブックスから本をご購入のお客様へ、少しでもバリューブックスのことを知ってほしい。そんな思いから、2つの新たな接点が生まれました。おすすめの本を紹介するちょっとした読み物「納品書のウラ書き」と、バリューブックスの活動を伝えるお手紙「ぼくたちが本を届けながら考えていること」。

 

私たちはオンラインの古書店です。直接お客さまと顔を合わせ、本を売ることができません。でも、こうして本と触れる喜びや、私たちの思いを届けることで、みなさんとの距離を縮められるような、温度を持った書店でありたいと思っています。

 

 

 

 

 

そして、2018年は私たちにとって大きな転機が訪れた年でもありました。

 

 

買取サイト「VALUE BOOKS」のリニューアル

 

 

 

バリューブックスには毎日約2万冊の本が全国から届きます。しかし、そのうち買い取れる本は約半分。残りの半分は古紙リサイクルにまわされています。「本を買い取れない」ということは本を箱に詰めるお客様、運んでくれる運送業者さん、そして倉庫で働く私たちスタッフそれぞれに余計な負担をかけてしまうことになります。

 

なるべくみんなに負担がないかたちで、本を次の読み手へ届けたい。

 

そんな想いから、まず本の価値を送るまえに自分で調べられる「おためし査定」をはじめました。さらに送料を1箱500円いただくことで、その分、査定金額をこれまでの1.5倍に引き上げました。お客様のほうで厳選した本をお送りいただくことで、無駄な運搬を減らすことができるのではないかと考えたからです。

 

大きな不安のなかでの決断でしたが、おかげで買取できる本の割合は少しずつ増えていっています。ひとりでも多くの人が気持ちよく使えるサービスを目指し、2019年も、新たな挑戦をし続けていきます。

 

会員制古本買取サイト VALUE BOOKS

https://www.valuebooks.jp

 

 

 

 

最後にお知らせしたいのは、ある賞を頂いたことについてです。

 

「Library of the Year 2018」優秀賞受賞!

 

 

10月に開催された、全国の優れた図書館を表彰する「Library of the Year(ライブラリー・オブ・ザ・イヤー)2018」にて本屋であるバリューブックスがなんと「優秀賞」を受賞しました。

 

 

「図書館や本屋が失いつつある機能を新しい仕組みで再生させているということに感銘を受けた」など、審査員の方々からは数々のご好評をいただきました。本屋である私たちの活動が、全国の図書館関係者の方々に評価され、これからの図書館のあり方に、何かしらの影響を与えることができていること、とても誇りに思います。また、本屋であるわたしたちが、この賞をいただいた意義を受けとめ、さらに前へ進んでいこうと心を新たにしました。

 

 

「日本および世界中の人々が本を自由に読み、学び、楽しむ環境を整える」

 

2018年は、わたしたちが掲げる上記の理念が、色濃く映し出された1年だったのではないでしょうか。求める人がいる限り、インターネット、時にはリアルな場所から、本を届け続けます。

 

みなさまに、素晴らしい1冊との出会いが訪れますように。

 

2019年も、バリューブックスをどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

posted by 北村 有沙

石川県生まれ。上京後、雑誌の編集者として働く。取材をきっかけにバリューブックスに興味を持ち、気づけば上田へ。旅、食、暮らしにまつわるあれこれを考えるのが好きです。趣味はお酒とラジオ。

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