EndPaper

本に触れる。
その小さなきっかけを届ける
ウェブマガジン。

2022-06-03

歴史をめくると、悩みがほどけていく — 納品書のウラ書き vol45

バリューブックスの本を購入していただいたお客様にお届けしている「本の納品書」
その裏面に掲載している書評「納品書のウラ書き」のバックナンバーを公開します。
納品書のウラ書きにまつわる詳しいストーリーはこちらをご覧ください。

——

 

お金持ちになりたい、仕事がうまくいかない、何者でもない自分がしんどい。よりよい人生を願うことで悩みが生まれるのは、つらいものですね。

そんなときは、『歴史思考』で歴史の扉を開いてみるのはどうでしょう。本書の書き手は、歴史の魅力をわかりやすく、かつ面白く届けるポッドキャスト「コテンラジオ」のパーソナリティーを務める深井さん。

 

本書では、チンギスカン、ブッダ、アリストテレスなど、歴史上の偉人の生い立ちや歴史的背景を噛み砕いて届けてくれます。

え?
それがどうして自分の悩みと繋がるのかって?

それは、僕らの悩みは往々にして「現代の常識」からむくむくと湧き上がっているから。たとえば「稼ぐ人が偉い」という価値観。実はこれ、江戸時代や中世ヨーロッパでは決して主流ではありませんでした。もっと言えば、「命の価値」ですら絶対ではない時代もあったのです。

 

無自覚な僕らの当たり前を、過去と相対化させることでほぐしていく。それだけでも、僕らの悩みはやわらかくなる。

ただ、「結局、自分はどう生きればいいんだろう」と、新たな悩みも出てくるかも知れません。でも、悩んだ時はそう、歴史でしたね。ここには、たくさんの足跡が残っています。

 

 

インド独立の父とも呼ばれるマハトマ・ガンディー。非暴力を掲げ、聖人君子のイメージが持たれる彼ですが、かつてはタバコ代を盗んだり、宗教上禁じられていた肉食を繰り返すなど、立派な(?)不良少年でした。

そんなガンディーは、自身が受けた差別をきっかけに、世界を変えるまでの人物となりました。

 

目が見えず、耳も聞こえず、喋ることもできなかったヘレン・ケラー。後年は障がい者福祉の向上に貢献するまでに活躍した彼女ですが、その道程は家庭教師アン・サリヴァンの尽力や、有名・無名を問わずあらゆる人との奇跡的な繋がりがあってのものでした。

 

歴史には、無数の人間の生き様が残っています。時代も環境も違うけれど、僕らはきっと、そこから自分の生き方のヒントを得られるはず。

悩みを解決する、というよりも、悩みとちゃんと向き合えるようになる。『歴史思考』は、そんなきっかけをくれる1冊でした。

 

『歴史思考』
深井龍之介(ダイヤモンド社)

 

 

——

 

 

ちなみに、バリューブックスはコテンラジオに書籍を提供し、その活動を応援しています。

本書の末尾にも記載されている彼らの参考文献は、下記からご覧いただけます。『歴史思考』のおともにも、ぜひ。

 

コテンラジオの参考文献
https://www.valuebooks.jp/shelf-items/list/aWZpYU96cURDSkh6TE1IeDl4WldiUT09

posted by 飯田 光平

株式会社バリューブックス所属。編集者。神奈川県藤沢市生まれ。書店員をしたり、本のある空間をつくったり、本を編集したりしてきました。

BACK NUMBER