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本に触れる。
その小さなきっかけを届ける
ウェブマガジン。

2023-02-22

ブックバスの「これまで」と「これから」|よりよい本の循環を目指して

 

現在ブックバスは、バリューブックスの本社がある長野・上田を拠点に日本全国で活躍しています。

これまで、さまざまな方々と接するなかで、お一人お一人にきちんとブックバスのストーリーをお伝えできていないことがもどかしく、ブックバスのこれまで行ってきた活動をまとめてみることにしました。

出会ってくれたすべてひと・すべての場所でのエピソードを伝えたい知って欲しい、そんな溢れんばかりの想いはあるのですが、ここではひとまずブックバスの、これまでをわかりやすく。「もっと知りたい!」と思ってくださった方は、最後の記事リンクより掘り進めていただければありがたいです。

 

「無書店地域に本を届けたい!」 ブックバスは、なぜ生まれたのか

 

バリューブックスの社内で、ブックバスのプロジェクトが立ち上がったのは2017年のこと。書店が1日に1店舗、閉店しているという事実を知ったことがきっかけでした。

わたしたちは古本の販売と買取りを生業とし、日々本に触れ、向き合うなかで、企業としても個人としても「本の可能性」を感じてきました。

そして、少し大袈裟に聞こえるかもしれませんが「本との出会いが人を変える」とも信じてもいます。

だからこそ、本を取り巻く状況が変わりつつあるこのような時代でも、必要としている人のところに一冊でも多く直接本を届けたい、その想いひとつで動き出しました。

 

たくさんの人の力を借りて、想いをかたちに

 

 

移動式本屋の先輩であるbook truckの三田さんに協力いただきながら、中古車販売店を巡る中で出会ったのが、岩手の図書館で使われていたという図書館バス。

かなり手を入れる必要のある一台でしたが、新しくきれいなバスを買うのではなく、これを再び本を運ぶ車として復活させることにしました。

それが、リユースの会社である私たちらしいやり方だと考えたからです。

 

 

内装の改修は、古材をレスキューして次の時代へつなげる活動をしているリビルディングセンタージャパンにお願いし、車体の塗装は自分たちで行いました。

改修にかかった費用については、クラウドファンディングを通して、多くの方のサポートをいただきました。

 

無書店地域に限らず、時には被災地へも「ブックギフトプロジェクト」

 

無書店地域だけでなく、本を必要としてくれている人がいるところならどこへでも。

バリューブックスが行っている本の寄付プロジェクトである「ブックギフト」でも、ブックバスは活躍しています。これまでに、長野を中心に、保育園や学校、老人ホームなどへ本を届けてきました。

 

小学校でブックギフト

 

また、2018年の西日本豪雨災害では被害の大きかった岡山・広島の避難所へ行ったことをきっかけに、2019年台風19号により被害を受けた長野県長野市、令和6年石川県能登半島地震災害で被災した能登(七尾・珠洲・輪島)へもバスを走らせました

バスを囲み、本を手にする方々の姿から、改めて「本の持つ可能性」を感じることができました。

 

避難所でブックギフト

 

 

食から音楽までさまざまなイベントに出店

 

ブックバスの活動を知って「来てほしい!」と、さまざまなイベントでお声がけいただくこともあり、各地へバスを走らせ続けてきました。
バスに乗せていく本は、イベントのテーマに合わせて選書しています。その数およそ
1000~1500冊。たくさん在庫があるバリューブックスだからできる、ブックバスの面白さです

 

イベント出店

 

少年院を訪れて

 

少年院内の図書整備を目的としてかかわるようになったことをきっかけに、少年院の少年たちと一緒にブックギフトで養護老人ホームに届ける本を選び、クリーニングまで行いました。誰かのために本を選びきれいにする、私たちが普段行う「本を届けること」を体験してもらいました。
バスさえ行ければ、その用途はさまざま。機能性もブックバスの特徴です。

 

少年院で少年たちとブックギフトの準備

 

1年間、下北線路街へ出張してみて

 

2022年10月から2023年12月末まで、ブックバスは、東京・下北沢に停車していました。

場所は、“線路跡地の、みんなでつくる新しい「街」”をコンセプトに掲げる「下北線路街」の中にある「のはら」。

ブックバスにできることが、もっとあるかもしれない。
街の中に停留することで、新しい存在意義を見つけられるのではないか。

これまでのように各地へ本を届ける活動を継続しながらも、下北沢停留所では、ブックバスの持続的かつ自立した運用も視野に入れ、新たな営みを試してみました。

「循環」「リユース」「街づくり」「本の可能性」…、ブックバスを気に入って、興味を持ってくださったみなさんと出会い、つながり、一緒に楽しみながら、かたちづくった取組みをすこしご紹介させてください。

 

下北沢にて

〇一年を通して、ポップアップや新刊フェアを開催

本屋として“人と本が出あう場づくり”にも取り組み、ポップアップや新刊フェアを開催。気概とセンスの溢れる方々とご一緒するたびに、パワーをいただき学ぶことばかりでした。

〇Carton Studio×VALUE BOOKSの「旅するノート」発売

ブックバスチームの発案でコラボレーション商品も生まれました。コラボレーションのお相手は、“不要なものから大切なものへ”をコンセプトに掲げ、世界中の街角から段ボールを拾い集めて財布などに生まれ変わらせるプロジェクトを続けているCarton Studio。「旅するノート」は、お客さまがバリューブックスへ買取りに出した際に、本を運んでくれた段ボールを使用しています。

購入はこちら

〇下北沢でのファイナル企画『値段のない本屋』

“期間中、ブックバスに並ぶ約1200冊の本は、古紙回収にまわるはずだった「捨てたくない本」。値段を決めるのは、その本を手にとってくださったお客さまご自身”という『値段のない本屋』を1ヶ月かけて開催しました。
最終的に、1000冊以上の本をレスキューすることができ、このイベントの売り上げを使って、下北線路街のなかにある仁慈保幼園のお子さんへブックギフトを実施することができました。

 

 

コラボキャンペーンの開催

 

ブックバスでは本を乗せて走るだけでなく、バリューブックスの根幹でもある“古本買取”から“届ける”までをぎゅっとキャンペーンにしてみました。

 

BRUTUSコラボ

「ブックバス・イン・愛大+オープン・エアー・ライブラリー」

2018年にブックバスが東北ツアーをした時に5日間同行していただいてドキュメンタリー映像を作っていただいた映像作家さんが、愛知大学文学部メディア専攻特任助教の上田さんでした。
ありがたい事に撮影や取材を通し、バリューブックスの活動やビジョンに共感していただいて、ブックバスをお勤め先の愛知大学呼びたいと言っていただきました。
そこで「ブックバスを持続的に運用することができる可能性を一緒に模索して欲しい」と、相談したところご快諾いただき、この取り組みが始まりました。

出店条件として「買取200件達成でブックバスを呼べる」と目標設定をして4月からスタート。
キャンペーン目標達成後、愛知大学豊橋キャンパスにとどまらず、豊橋市まちなか図書館・田原市中央図書館などへ出店して、トークイベントや映画のワークショップなど、ざまざまな企画を行いました。

〇『BRUTUS』がブックバスをジャック!?通巻1000号の記念コラボキャンペーン

2024年1月11日発売号で、なんと1000号を迎えたBRUTUS。
そんな記念すべき号の発売を祝して、古本の買取・販売をメインに行うバリューブックス「ブックバス」とのコラボ企画をスタート
遡ること約44年、1980年に発行された創刊号から、最新の1000号までの歴史を積んだブックバスが、貴重なアーカイブを実際に手にとって読める場所として、日本全国8か所に停車しました。ご来場、ならぬご乗車していただいた乗客のかたには、ささやかながら記念ステッカーをプレゼントさせていただきました。

そして BRUTUS×ブックバス の企画をきっかけに、ブックバスを運営する、バリューブックスへお持ちの本を買取に出していただいたかた全員に、「BRUTUS1000号オリジナルステッカーセット&マグカップ」をプレゼントする買取キャンペーンも開催。300件を超えるお申込みをいただきました。

 

 

ブックバスのこれから

 

2017年にスタートし約8年、日本中を走り、たくさんの人に本を届けてきたブックバス。
ブックバスはこれからどうなっていくのでしょうか。

時には「こどもたちに本を届ける移動図書館」、あるときは「被災地を走る支援車両」、またあるときは「イベントを盛り上げる移動本屋」、そして「バリューブックスの活動と思いを伝えてくれる広報車両」として、活躍してきたブックバス。

訪れる先や催しの内容に合わせ、用途も乗せる本も変え、伝えるメッセージまでも変えて、本好きを楽しませてくれるブックバスの魅力は、出会う人・場所によってどんどん多彩になっていくと感じています。これからも日本全国津々浦々、本を必要とするあなたのもとへ本を届けるために、走り続けます。

ブックバスでのチャレンジや最新の出店情報はインスタグラムで日々発信しておりますので、是非覗いてみてください。

Instagram: @bookbus_by_valuebooks 

 

バリューブックスは、本のより良い循環を目指し、古本の買取・販売を軸に、これからもブックバスや、その他のさまざまなプロジェクトの試行錯誤を重ねていきます。
本を手放す時も、本と出会うときも、バリューブックスをご検討いただけますと幸いです。送っていただいた本が、ブックバスの活動の力になります。

 

バリューブックスで本を買う:https://www.valuebooks.jp

バリューブックスで本を売る:https://www.valuebooks.jp/sell

 

 

 

 

<「もっとブックバスを知りたい!」と思ってくださった方は、こちらの記事もぜひご覧ください>

 

 

ブックバスクラウドファンディングページ

「日本全国の人々に本を届けるために、ブックバスを走らせたい。」

ブックバスがなぜ生まれたのか?ブックバスに込めた気持ちなど、私たちの想いを紹介しているクラウドファンディングのページです。ブックバスはここから始まりました。

※クラウドファンディングは終了済み

 

 

BOOKBUSは本を届ける旅に出る。

『BOOK BUSは本を届ける旅に出る』は、ブックバス東北ツアーの5日間の様子を追ったドキュメンタリーです。

なぜ、オンラインで古書を販売する会社が、たった1台のバスで本を届けるプロジェクトをスタートさせたのか。
インターネットでいくらでも欲しい本が手に入る今、そこにどんな意味があるのか。
ツアー風景の1コマ1コマから、その答えが見えてきます。

 

 

学校にックバスがやってきた!380人の生徒へ本をプレゼント

 

2019年1月末、ブックバスはこの日、小学校にいました。
たくさんの本をのせ、迎えるのは380人の生徒たち
上田市内にある西小学校にて開催された本の寄贈プロジェクト「ブックギフト」
10年近いブックギフトの活動のなかで、小学校での開催は実は初めてのことでした。

 

 

ブックバスにできること-西日本豪雨災害 ボランティア編

 

西日本豪雨災害でブックバスに「できること。
「ブックバスは西日本豪雨で被害に合った人たちの役に立てるのか?」
現地ボランティアに参加したスタッフが記事を綴っています。

 

 

「どうしてここに来たんですか」 ━ 新潟少年学院を訪れて

 

バリューブックスと少年院。
本を通じた繋がりで私たちは新潟少年学院を訪れました。
バスは本を運んだだけだけど、このバスだったからあの空間・あの雰囲気があったんだ、と感じます。

 

 

ブックバスを大学に呼べますか?

 

多くの人に本を届けるというミッションを掲げ試行錯誤を続けてきたブックバスですが、
実際の運用となると限られた予算の中で継続ていく難しさが常でした。
出店に向けての打ち合わせで、ブックバスを持続的に運用することができる可能性を一緒に模索して欲しいと相談したところご快諾いただき、「ブックバス・イン・愛大+オープン・エアー・ライブラリー」が始まりました。

 

『BRUTUS』がブックバスをジャック!? 通巻1000号の記念コラボグッズが全員もらえる、太っ腹の古本買取キャンペーンを開催!

 

人気雑誌とのコラボレーションが実現。
歴史あるバックナンバーを手に取ってもらう移動図書館として全国8か所に停車しました。
車内のベンチに座ってじっくりと誌面に目を落とす読者たち、みなさんに「あなたBRUTUSこの1号は?」と題し、1冊を手に思いを語っていただきました。

 

 

 

posted by バリューブックス 編集部

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