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2020-07-29

納品書のウラ書き vol.4 「”家”という同居人」

 

バリューブックスの本を購入していただいたお客様にお届けしている「本の納品書」
その裏面に掲載している編集者・飯田による書評「納品書のウラ書き」のバックナンバーを公開します。
納品書のウラ書きにまつわる詳しいストーリーはこちらをご覧ください。

 

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2018年8月発行_vol.4 より

 

“家”という同居人

 

近々もう少し広い家へ移るのですが、そうなると自然と生活も新調したくなるものですね。

このキッチンでもう少し料理に腕を振るおう、ソファを買ってゆっくり読書を堪能しよう、等々。自分の暮らしが、家に沿って形作られていることに気がつきます。

「そういえば、”よく住まう”ってどういうことなんだろう?」と気になり、『父の縁側、私の書斎』に手が伸びました。

本書は住まいをテーマにしたエッセイ集。著者の壇ふみさんは往年の名女優ですが、父親もまた日本を代表する文士、檀一雄。ただ、物書きの血、なんて言葉は野暮ですね。小気味よく上品な日本語が踊る彼女の文章には、独特の美しさが宿っています。

ここで描かれるのは、小さな段差に何度もつまずき、雨漏りに気を揉みながら過ごすふつうの日々。まぁ、時には愛犬を連れて坂口安吾が転がり込んでくるけれど。

悩みながらもどこか楽しげに暮らす彼女の姿を見て、よく住まうとは、工夫を重ねて家と折り合いをつけていく営みなのだと合点がいきました。

 

『父の縁側、私の書斎』
檀 ふみ(著)
出版社:新潮社 (2006年8月29日)

 

 

 

合わせて読みたい1冊

 

 

まぁまぁ、お待ちください。どうもマニアックなタイトルですが、「しあわせな人生ってなんだろう。」という帯文が気になりませんか。断熱やら気密やらがそんな大仰な話なのか?と。

中を開けば、そんな疑問はするすると氷解。快適な家が前提になるから、その先の”暮らし”を考えられる。自分の生活を自分の手でつくる、そんな当たり前の力強さを実感させられました。

 

『これからのリノベーション 断熱・気密編』
伊藤菜衣子 、竹内昌義 、松尾和也 (著)
出版社::新建新聞社 (2018年7月1日)

 

 

 

 

 

 

posted by 飯田 光平

株式会社バリューブックス所属。編集者。神奈川県藤沢市生まれ。書店員をしたり、本のある空間をつくったり、本を編集したりしてきました。

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