バリューブックスのメールマガジンを担当している篠原です。
年始のメールマガジン企画では、バリューブックスのスタッフから「2025年に読んで一番印象に残った本」を募集し、「VBスタッフのMY BEST BOOK」として、11冊をご紹介しました。
この記事では、その人なりの一年の気配が感じられるコメントとともに、スタッフの“ベストブック”をあらためてまとめてお届けします。
次に読む本の参考にいかがでしょうか。
松浦弥太郎 著
「お金は自分のものじゃない」。このワードが目に飛びこんできて購入しました。お金のことっていつかは考えなきゃいけない、けれど、株とか財テク系の話には興味が湧かず…。この本は「お金を稼ぐ・増やす」の手前の「お金とはどんな存在なのか?」という疑問から始まり、著者のお金との向きあい方を、明朗なタッチで丁寧に解説してくれます。読んでよかったと思えたお金の本。
安田弘之 著
有村架純さん主演の映画『ちひろさん』の原作漫画です。元風俗嬢のちひろさんが、街のお弁当屋さんで働いて、地元の居酒屋で飲み歩いて、いろいろな人と分け隔てなく接する姿がとても魅力的です。自由奔放で掴みどころのない彼女ですが、その奥には悲しみや葛藤が秘められていて。ちひろさんの生き方や言葉が、誰かの心を解いていく様子に、自分の呼吸まで整っていくような優しさがあります。世界の見え方を少しやわらかくしてくれました。
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セントラルド熊 著
目が見えない子猫ミエーヌが主人公のコミックエッセイ。文学的で独特な言い回しがとにかくクセになります。あふれだす好奇心のままに突き進み、傍若無人に周囲を振り回す姿は、まさに小さな暴君!日常の嵐の中に命のたくましさと愛おしさが詰まり、気づけば少し泣ける一冊です。
地球の歩き方編集室 著作編
「地球の歩き方」歴史時代シリーズ第1弾として刊行された本書は、ハプスブルク帝国の歴史と、オーストリアやハンガリーなどに残る街並みを、時代を越えて旅するように楽しめる一冊です!
ハプスブルクにゆかりの人物を描いたミュージカル作品を観劇するにあたり手に取った一冊でしたが、歴史が得意でなくても読みやすく、背景への理解が深まりました。
カバー裏にはハプスブルクらしい素敵なデザインが施されており、本ならではの仕掛けが、手に取る楽しさを広げてくれます!
ミラン・クンデラ 著,西永良成 訳
大人になってその良さがわかる小説というのがある。
そんなことを言われるたびに二〇代の私は、年寄りのマウントだと思っていたが、四〇代になった今の私は、たしかにそういう小説があるのだとわかる。
むしろ、ほとんどの小説というのは、歳を重ねるほどに面白さが増していくものなのではないか。うしろにおいてきた過去の蓄積が読書をより豊かにするのだ。だからといって二〇代の私にそのことを理解してほしいとも思わないのだが――。
そんな「大人の」小説の典型が、このミラン・クンデラだ。クンデラは、人間の本質的な滑稽さと、その可笑しな人生(それは個々の人生が深刻であることと矛盾しない)の有限性を、ユーモアを交えて語る。
人生は思っていたよりもずっと馬鹿馬鹿しく、いつのまにか歳をとっていて、もう二〇年前には戻れない。四〇代に差し掛かってそんなことを強く感じはじめた私は、いまになってクンデラの小説が面白くて仕方がない。
松本大洋 著
漫画家、松本大洋さんが50歳をすぎて描いた大傑作。
主人公は、早期退職をした漫画編集者。退職してなお、理想の漫画雑誌づくりを諦めきれず、仲間を集めるように漫画家たちのもとを訪れます。
漫画から離れた気難しい巨匠、大衆に向けた作品ばかりを作っている現役作家、漫画を描くことをやめ、家族との生活のためスーパーで働く元・漫画家。
創作への情熱を捨てることのできない中年たちが、その気持ちとどう向き合うのか。セリフのないクライマックスシーンには、息をのむほどの線の気迫があり、圧巻です。
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那須耕介 著
短編集や詩集、ノンジャンルといった本を読む機会に恵まれた年でしたが次のような利点があることに気づきました。
・「読み始める」ストレスがない:さっと開けた箇所から自由に読むことができる
・「読み続ける」ストレスがない:短編は数ページ、詩に至っては1ページ未満で終わるものもあるのでサッと読める
・新しい発見がある:一度読んだことのあるページでも、以前は読み飛ばした一文に気づいたりする
本書は少し考えさせられるエッセイ集ながら終始あたたかい静けさに包まれています。著者は他界されていますがその人柄に触れることができるような随筆です。装丁も素敵です。
潮谷験 著
ある日、大学生数名にスイッチが渡されます。
スイッチを押す、押さないに関係なく、期間終了後に100万円が各々の口座に振り込まれます。
そのスイッチを押すと「自分とは関係ない僻地でパン屋を営んでる家族」の生活が瓦解していく一因になります。
この本で一番驚異的だったのは平凡な大学生で成績も優秀な、側から見れば真面目な人でも「スイッチを持ってるからなんとなく押してしまいそう」そんな目に見えない悪意が備わっていることです。
人間の本性の一端を垣間見たそんな印象的な本でした。
村田沙耶香 著
2025年もいろんな本を読みましたが、『世界99』
圧倒的世界観に、これを読んだあと誰かと会話する度に「今わたしはどの私で会話してるかな」と意識させられてしまっている。
村田沙耶香の作品は『コンビニ人間』以来だったのだが、新聞広告が書店で平積みされていた本作の購入きっかけとなった。
主人公は性格のない「からっぽ」の空子。10歳からの一生と、ピョコルンという可愛らしい動物が現れ、家族、友達、恋人、ピョコルン…その関係性は気持ち悪いぐらい身近にあることで、村田作品をもっと読みたくなった、読まなくてはいけないような気にさせられた作品。
読後感はけっして良いとは言えないが、忘れやすい私がずっと記憶に残った作品でした。
▸下巻はこちら
西加奈子 著
貧困、ブラック企業、ネグレクト、虐待…今の時代のこの日本に確実にあるダークサイドを生きる2人の男の子の物語。
いつか夜は明ける?明日を迎えられる人の夜は明けるだろう。でも明日を迎えられるか分からない人はどうだろう?そんな人たち(外国人含む)に余りに冷たい社会、日本。でも今日もただ夜は明けるのだろう。
西加奈子作品では最も時代に向き合った問題作かつ最高傑作。
道尾秀介 著
終業式の日、S君に宿題を届けに行ったミチオは、彼の”死体”を見つける。が、その死体はすぐに消えてしまう。一週間後、S君は別の姿で現れ、「僕の死体を探して」と告げる―。
夏休み・謎解きという設定のドキドキ感の裏で、終始不気味な空気を感じるストーリー。描写が細部まですっと入ってくるからこそ、読者はいくつも騙されるのです。特にラスト4行が衝撃で、じわじわと染み込む怖さを残しながら、置き去りにされた気持ちになりました。2025年一番忘れられない一冊です。
どの本にも、読む人の時間や感情が静かに重なっています。
気になる一冊は見つかりましたでしょうか。
この一年が、あなたにとっても「忘れられない本」と出会える時間になりますように。
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