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2025-05-30

【 バリューブックスのスタッフ紹介】本屋で働くわたしたち vol.15  「実店舗 本と茶 NABO カフェ担当」

現在バリューブックスでは、高校生から60代までの約300人のスタッフが働いています。フルタイムスタッフだけでなく、子育てをしながらやWワークなど働きかたもさまざま。

多くのスタッフは、全国から届いた本の査定や、オンライン注文商品の発送などを行うロジスティックス部に所属していますが、ほかにも、システム部や、総務経理部、マーケティング部、カスタマースタッフ、寄付事業や実店舗運営にたずさわるスタッフなど、あらゆるシーンで会社をささえる人がいます。

「本屋」としていくつもの顔をもっているバリューブックスですが、一体どんな人が働いているのか、その仕事内容や、スタッフの人となりが伝わるお気に入りの本をご紹介します。

本屋の裏側をのぞくような気持ちでお楽しみください。

 

 

 

第15回は、実店舗「本と茶 NABO(ネイボ)」のカフェ担当の喜多さんをご紹介します。お茶を淹れたり販売や接客が主な仕事ですが、最近では喜多さんの業務日報が社内で話題となり、バリューブックスのメルマガや『納品書のウラ書き』に掲載するちょっとした読み物も執筆しています。

 

──自己紹介をお願いします。

 

喜多です。

東京都八王子市の生まれで、高校のとき長野県小諸市に家族で移住しました。

最近ハマっていることは、天然酵母の米粉パン作りと、陶芸。自分の手で作れるなんて思ってなかった!という驚きと楽しみがあります。失敗も多いですが……

 

 

 

──バリューブックスに入社した経緯を教えてください。

 

10年間勤めた観光関係の前職を辞めようと決めたとき、バリューブックスの実店舗である「本と茶 NABO」の求人が出ていて、応募しました。「退職したばかりで時間もあるだろうし、旅行などしたければ、入社時期を遅らせてもいいですよ」との店長の池上さんの言葉に、そんな自由な会社あるんだ!と感動しました。

2024年4月に入社し、現在2年目です。

 

 

──バリューブックスではどんな仕事をしていますか?

 

 

 

最初は主にブックカフェのレジ打ちやドリンク提供に携わっていましたが、次第にやらせてもらえる仕事が増え、今はお店に並べる古本の選書や、カフェで提供するお菓子のレシピ開発製造なども行っています。

 

 

──バリューブックスで働くおもしろさややりがいは、どんなところに感じますか?

 

初めて見る本が、無限に現れる。見たことないものと出会うのは最高に楽しいです。それから、自作の米粉スコーンを「小麦粉のスコーンより美味しい」と言われたときも、本当に嬉しかったです。

 

 

 

 

──これからバリューブックスでやっていきたいこと、やってみたいことがあったら教えてください

 

本を発見するとか、読みたい本に手を伸ばすとか、読む時間をつくるとか、本を読むという行為にはたいてい、ちょっとした壁がつきものだと思うのです。その壁を乗り越えるお手伝いをしたいですね。私は、本が好きだけれど多読でも速読でもないし、知識も少ない。けれど本を読むって、前提知識とか文脈理解とかが必須ではないと思うのです。読んだとき「読んでよかった」と思えたら、それがその人にとっての大切な経験や、癒しになる。

だからとにかく「本を触って、手にとって」の誘導がしたい。あれ、これなんか、自分がしてもらいたいことのような……

 

 

 

 

 

──どんなジャンルの本をよく読みますか?

 

文芸(小説・詩など)、ビジネス、自然科学、趣味・実用、コミック、新書、文庫

 

 

──普段、どんな時に本を読みますか?

 

お風呂、電車旅、NABO読書室

 

 

──最後に、お気に入りの本を教えてください。

 

①最近これ読みました

 

 

生きのびるための事務

坂口恭平 原作、道草晴子 漫画 / マガジンハウス / 2024年5月16日発行

 

「生きのびる」というと、作者の坂口さんは自身の躁鬱病を公表している方だから、人間関係やストレスに関するノウハウ本だと予想していたのですが、まったく違いました。「将来、作家とか画家とかいった夢がある人は、どうやってそれを実現していくか」の現実的な行動指南書なんです。「何になるか」ではなく「どういう行動をして生きていくか」。会社員でも専業主婦・主夫でも起業でも学生でも子供でも、だれでも「どういう行動をして生きていくか」を決めることは、より良く生きるために一度考えてみるといいなと思いました。

 

②なんだか気になる積読本 

 

 

『脳の外で考える』

アニー・マーフィー・ポール 著,松丸さとみ 訳 / ダイヤモンド社 / 2022年9月1日発行

 

「あっこの本、読んでみたいな」と興味がわくタイミングは音声アプリvoicyでの紹介が多いのですが、この本もその経路。ダーウィンが進化論を発見したのは「ビーグル号での航海中、発見したことの全てをノートに書きつけていたから」。小学校で習う筆算だって、紙と鉛筆は脳の拡張といえる、と述べられています。

全部自分で考えて行動しなくては、と思うと気が重いですが、実はペンやノートやPCも一緒に考えてくれていると思うと、荷が降りたような開放感があって、とてもいいです(むしろ私が独自に考えている部分なんてどれだけあるのか……)。ちょっと厚くて最後まで読めてないですが、この本が保持する知識は、まさにこの本がずっと覚えていてくれるので、私は今すぐ読まなくてもいいんですね。

 

③やっぱり手放せない本 

 

 

『緋色の研究』

著:コナン ドイル,原著:Doyle,Arthur Conan,翻訳:謙, 延原 / 新潮社 / 2010年1月 発行 

 

読書の原体験は中学の図書館にあった児童向けミステリ全集だったのですが、有名なシャーロックホームズシリーズの最初、「ホームズとワトソンの出会い」が描かれるのがこの作品だということを知ったのは大人になってからで、ずいぶん時間がかかりました。これが一番読みたかった! 世界初の探偵ものなんて言われていますが、ドイル作品の萌えポイントは、パートナーシップ、二人の漫才的日常だと私は思います。

同級生には「読書家だと思っていた」と、大人になってから言われましたが、それだって実は、友達とコミュニケーションをとるのが苦手で、他に打ち込めるものもなく、本を読むポーズをとってやりすごしていただけだったのかなあ、なんて。あなたは将来本屋に勤めるよ、と言ってあげたいですね、中学の自分に。

 

 

 

 

posted by バリューブックス 編集部

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