ブックバスの「これまで」と「これから」|よりよい本の循環を目指して
2024-11-06
2024-12-27
本を通じて笑顔を届けるブックギフト。バリューブックスで買い取れなかった本の一部を、無償でお届けしています。
訪れた先では、本を積んだブックバスに乗車し、ひとり一冊、欲しい本を選んでもらいます。
この一年間、私たちは保育園、幼稚園、小学校、高校など、さまざまな場所へ訪れ、子どもたちの手に届けてきました。
2024年間で届けた先は29か所。
本来は捨てられるはずだった約5000冊の本が、次の読み手へもとへ旅立ちました。
ブックバスに積んだたくさんの本は、ひとりひとりの興味関心と結びつき、さまざまな出会いと物語が生まれました。
そんな活動の中で、印象に残ったのは「できる大人のものの言い方大全」を友達と楽しそうに見ていた男の子です。
彼が「こういう本って他にもありますか?」と尋ねてくれたことで、大人の世界や言葉そのものに興味があるのかなと思い、手元にあった「仕事のマナー本」や「昭和歌謡に出てくるフレーズ」の本を手渡しました。
「こういうの興味あるの?」と話を聞いていくと、彼が「行動心理学が好きなんです」と答えてくれたのです。
私は驚きつつ「ならちょっと違うかな」と思っていると、「面白いですね」と昭和歌謡の本を手に取ってくれました。
結局、彼が選んだのは、昭和歌謡の本。「歌詞ならではの解釈が面白い」と話しながら帰っていく姿が印象的でした。子どもたちの好奇心の多様さを実感しました。
先生たちからは、
「学校にない本がたくさんあり、貸していただいた本を教室に持ち帰った後も、じっくりと読んでいました」
「バスが来ることを楽しみにしていました。バスに乗るとすぐにたくさんの本を見たり、笑顔になっている子がたくさんいました」
と、うれしいお声もいただきました。
子どもたちからも、こんなうれしい感想をいただきました。
6月、石川県能登半島地震被災地での活動では、本の力が心の安らぎを生む瞬間を見届けることができました。
▶︎被災地支援レポートはこちら(記事後半にレポートがあります)
今年は東京・新国立競技場となりのPLAY EARTH PARK WONDER STORE 都立明治公園でも、「WONDER BOOK GIFT」と題しワークショップも開催しました。
バスに並んだ中から好きな絵本を選び、一緒に参加したお友達に「私がこの本を選んだ理由」をお話ししてもらいました。
選び方も様々、ぱっと決まる子もいれば、気になった本を並べてみたりして。
選んだ理由を言葉にするのって難しいし、お友達同士初めましてだから恥ずかしい。そんないろんな感情が沸き上がるなかみんなしっかりとお話ししてくれました。
イベントは、子どもたちもおとなたちからも好評で、「素敵な1冊に出会えました」との声をいただきました。
本を選ぶと、すぐに本を開いて読み始める子どもたち。その様子は実にさまざまです。
ページをめくる手が止まらない子、じっくりと表紙を眺めてから読み始める子、友達と一緒に本を囲む子たち。
読むペースも選び方もそれぞれ違いますが、みんなが本に向き合うその表情には共通して、真剣さと好奇心があふれています。
ある子は選んだ本を抱きしめながら、教室へ戻っていきました。
本が持つ不思議な魅力が、こうして子どもたち一人ひとりの中で広がっていく瞬間を目にするたび、私たちもその場に立ち会えた喜びを感じます。
本との出会いを楽しむ姿を見ていると、改めて「本の力」を信じる気持ちが強まります。
「古本が誰かの役に立つなら」と本と共に皆さんからの思いをいただくことがあります。
そうして送られた本は、一冊一冊が子どもたちの未来を照らす贈り物です。
読むことが、子どもたちの新たな世界への第一歩になることを願いながら、私たちはこれからも本を届け続けます。
posted by 中村 聖徳
バリューブックスで働きながら、音楽関係の仕事を兼業中。
バリューブックスに入ったきっかけも、音楽仲間を通して。
甥っ子の影響でおさるのジョージとヨシタケシンスケさんの「もう、ぬげない。」がお気に入り。
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