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2024-12-16
2022-03-02
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あなたが見ているこれは、そう、『文字』。そこかしこに文字はあり、親しみ深い存在ではあるけれど、私たちが彼らをよく知っているとは限りません。今回は、人間の世界を飛び出して、文字の世界にお邪魔してみましょう。郵便ポストや車のナンバープレートといった街にあふれる文字の来歴を追ったり、漢字から世界の成り立ちを想像してたり、人ではなく文字が主人公となった小説に驚いてみたり。意外と知らない文字の描き方、今回の3冊を読んでさらに迷宮に入り込むかもしれませんが、それこそが読書の醍醐味ということで、どうぞご容赦ください。
本書『もじモジ探偵団』は、紙や印刷のノウハウをまとめた情報誌「デザインのひきだし」での連載を初期化したもの。アイアイ探偵と助手のネコくんが、街にあふれる気になる文字を調査し、制作した人たちに直接マイクを突きつけインタビューしていきます。たとえば、道路に白く描かれた「止まれ」の文字。でも、よく観察すると「止マレ」や「とまれ」もあるって、気付いてました?駅弁のパッケージ、タバコの看板、視力検査に使われる文字、さらにはお菓子のたべっ子どうぶつまで、文字のことなら探偵団におまかせあれ!
三千三百年前に生まれた「漢字」。その由来を知ることは、古代の人がそこに込めたイメージを知るということ。つまり、目の前の漢字から古の世界が見えてくるのです。漢字研究の第一人者として活躍し、多くの著作を残した白川静。『サイのものがたり』は、彼がひもといた感じの神髄を味わえる、一冊の絵本です。「古」「告」「史」といった異なる漢字たちが、「サイ」と呼ばれるひとつの記号で繋がり、僕らの先祖が暮らした世界を、もっと言えば宇宙を織り成していく。漢字によるタイムスリップ、とても濃厚な時間でした。
円城塔著(新潮社)
これは、文字が主人公の物語。物がたちは文字で書かれるものだから、文字が文字を語ることになるわけですね。うーん、なんだか奇妙。表題作の「文字渦」は、兵馬桶から見つかった3万の漢字と、ひとりの陶工の人生を組み合わせた一章。そのほか、書いた文字同士を闘わせる架空の競技を描いた「闘字」や、字が殺される殺字事件を扱った「幻字」など、どの話も難解な設定と、それを構築するロジック、そしてユーモアに満たされています。よくわからなくても大丈夫、一緒に円城ワールドに身を任せ、気持ちよく翻弄されましょう。
posted by バリューブックス 編集部
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