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2021-07-29

「音楽が持つ、文化・価値を再創造し循環を生み出す」ディスクユニオン広畑雅彦社長インタビュー

 

音楽のスペシャリストとしてコアな音楽ファンに熱烈に支持されるレコードショップ、ディスクユニオンが音楽本も買取販売をされていることはご存知でしょうか。

コアな音楽ファンの要求に応え続けるための豊富な知識と経験を持つ彼らは、音楽本の査定に関してもプロのしての能力を発揮しています。

この度、同じリユース企業としてディスクユニオンと古本買取のバリューブックスが提携し、協同のキャンペーンを実施することになりました。

 

本キャンペーンがきっかけとなり、「スペシャリスト集団としてのディスクユニオンについて、もっと知りたい!」と実現した今回のインタビュー。

ディスクユニオン社長 広畑雅彦さんに、バリューブックス取締役の内沼晋太郎が話をお伺いしました。

 

 

日本トップクラスの知識を持つ“お客さま”とともにつくる、他にはない専門店

 

内沼:
広畑社長とは、ジャズの専門店である「ディスクユニオン JazzTOKYO」の書籍売り場のお仕事を皮切りに、「BIBLIOPHILIC」という本好きに向けた読書用品ブランドの運営や、「bookunion」という古本部門や「DU BOOKS」という出版部門の立ち上げなどに携わらせてもらったりと、かれこれ10年ほどお仕事をご一緒してきました。そのようなこれまでの関係もあり、今回は自身が聞き手をつとめさせていただくことになりました。本日はよろしくお願いします。

 

広畑:
よろしくお願いします。実はほとんどインタビューを受けたりしていないのですが、内沼さんの頼みということであれば、断れないなと(笑)

 

広畑雅彦 1965年生まれ。 1987年ソニーに入社。8ミリビデオの国内営業、ソニー系列店の新業態開発や
プレイステーションの立ち上げなどを経験。1998年にポケモンセンター1、2号店をプロデュース。
キャリアの大半を新規事業開拓に費やす。
1995年ディスクユニオン入社。 2002年代表取締役社長就任。CD/レコードの特化型専門店や音楽レーベル、読書用品ブランドなどマニアックなワン&オンリー業態を増やし多柱経営を実践中。

 

 

内沼:
ありがとうございます!仕事としてのお付き合い以上に、ユーザーとしての関わりはもっと長くて。自身が大学生だった頃、大学の近くにあったディスクユニオンにしばしば足を運んでいました。その頃からは20年以上の時が流れていまして、その間音楽を取り巻く状況も変わっている中で、どのような成長・変化を重ねてこられたのか、お伺いできればと思います。

 

広畑:
私が社長のバトンを受けたのも約20年前くらいなんですね。ここ20年間で一番大きく舵をきったことの1つが、専門特化型の店舗を増やしてきたことです。

社長になった当時は、全音楽ジャンルを扱う、どちらかというと総合型のCDショップだったんですね。日本の流通業全体が、郊外のロードサイドにお店を出すというのが主流になっており、ディスクユニオンも同様に、市街地郊外の店舗が全体の3分の2ほどを占めていたんです。

 

内沼:
自身が大学生の時に通っていた店舗も、全ジャンルを扱うお店でした。

 

広畑:
そういった店舗というのは、地域のお客さまを主にしており、マニアックな専門店というのは、なかなか成立しづらかったんです。ただ、我々の一番の経営資源というのは、スタッフの商品知識ですそれぞれの商品のスペシャリストがスタッフにいますから、どちらかと言うと総合型の店舗よりは、いまやっているような専門特化型の店舗にしていくべきだと。そこで、ロードサイドにあるお店を徐々に閉めていきました。社内からは反発もあったりしましたが、黒字化しているお店でも閉めていましたね。

その結果、ここ20年で、3分の2が店舗が山手線の内側に立地しているという状態なりました。出店をする街として、特に目をつけたのが新宿であって、老若男女、各世代の方にご来店いただきたいという思いもあり、新宿には20店舗ほど店舗を構えています。

 

 

内沼:
一番の資源がスタッフの商品知識という点で思ったのは、ディスクユニオンという会社は、専門知識があるスタッフが集まってくる会社なのか、育つ環境がある会社なのか、どちらなのでしょうか。もちろん両面があるのだろうと思いつつもお伺いできればと。

 

広畑:
そこは、当事者として一番わかっているのが塙さんだと思うので、ぜひ塙さんからお願いします。

 

塙:
はい。私が入社したのは25年前くらいなのですが、総合店的な展開がメインだったものの、店舗にはJAZZ専門の売り場があったりと、当時からすでに他社とは異質の会社であったと思います。そういう意味では、専門性が高い人材が集まりやすい会社ではあったのかと。ただ一番は、入ってからの環境だと思います。いまは JAZZ 部門に関するリーダーをやっていますが、私もはじめから知識があったわけではなく、店頭に立つ中で知識を身につけてきました。その中で、お客さまに育てていただいたという経験は、非常に大きかったです。ディスクユニオンには、日本トップクラスの知識を持つお客様が多数来てくださっているので、そういう方にある意味可愛がっていただき、さまざまなことを教えていただく中で、専門性を磨くことができたんですね。そして、それを周りスタッフと共有することで、成長を重ねていけたのだと思います。

 

塙 耕記 1972年生まれ。1997年ディスクユニオン入社。
これまで各レコード会社で千タイトル以上の企画・監修を務めてきた、ジャズ名盤レア盤復刻請負人。
ジャズ名門レーベル、“BLUE NOTE”プレミアム復刻シリーズの監修など、職人的アートディレクションで定評がある。CRAFTMAN RECORDS主宰。

 

 

内沼:
なるほど。スタッフの話で重ねて質問をさせてもらうと、広畑社長はディスクユニオンの強みはスタッフであり、成長戦略の要にしていこうと、どのタイミングで思われたのでしょうか。

 

広畑:
社長に就任する以前は、SONY に8年くらい勤めていたんですけども、その頃からディスクユニオンでもアルバイトをしていたんですよ。平日だと17時くらいに SON Yをあがって、そのあとダッシュで渋谷の JAZZ のお店にアルバイトに向かっていました(笑)そして土日も働いてと、365日働いてたのが2、3年あったんです。その経験があったらからこそ、アルバイトの目線といいますか、これすごいマニアックだなと、普通の CD ショップと違うということは、体感していたんです。そのため社長になってからというよりも、その前から異質を強みとして活かした方がいいなというのは考えていました。

 

 

やりたいことは、リユースではなく「リカルチャー」

 

 

内沼:
なるほど。新品の CD やレコードを売られていたり、さまざまな新規事業にチャレンジされたりもしていますが、メインは当社バリューブックス同様、中古のリユース事業だと思います。その部分に関して、この20年間の変化や、未来についてどう考えられているかお伺いできればと思います。

 

広畑:
20年前は、リユースという言葉すら一般的ではなかったですよね。世の中での中古品に対するネガティブイメージというのが、ものすごい強かった。そういった中で現れたのが、ブックオフです。厳密に言うと、ブックオフの1号店ができたのは31年前だと思いますが、彼らが登場して、中古品である後ろめたさを無くしてくれました。これは必要なものですよというのを、世に知らしめてくれたというのは、とても大きな変化だったと思います。

 

内沼:
自身もそう思います。

 

広畑:
一方、我々はリユース事業をどうにかしようとはあまり考えたことがないんです。もちろんリユースという概念が当たり前になったことは嬉しく思いつつも、中古レコードであれば、そのレコードの文化的な価値を評価することにずっと重きを置いてきました。

いいものに対しては、それなりの値段を付けて、次の世代受け継いでいくというのが、ユニオンの専門分野、いわば使命なのかなと思いますバリューブックスさんと我々の共通点があるならば、音楽や本そのものに対して、愛情を持っていることだと思います。その商品をどういう風に育てていくのか、その上でどのように世の中にリユース・リサイクルしているかを考えていることだと。

 

内沼:
なるほど。リユースすること自体が目的ではないと。

 

広畑:
言葉としてあるものではないのですが、言うならば「リカルチャー」といった感じでしょうか。文化・価値をもう一度再生させる。「リカルチャー」をしていくことが、我々やバリューブックスさんの役割としてあるのかなと感じています。

 

内沼:
確かにリユースという概念は、ここ数年でもかなり進んできていて、これからはもう1歩先をみていくことが重要だと思います。

 

広畑:
リユース観点で言うと、いわゆるC2Cであるネットオークションによる個人での売買が広がってきたり、メルカリが出てきたりと、競合も増えてきていますよね。その中で何を目指すのかが、これからの鍵だと思います。

 

制作から、販売まで。みずから循環を生み出していく、これからのディスクユニオンの形

 

ディスクユニオンの出版レーベル「DU BOOK」の棚には、音楽に関連するさまざまな本が立ち並ぶ

 

 

内沼:
ディスクユニオンのスタッフの話に戻ると、塙さんもそうだと思いますが、あるジャンルに特化されていることによって、会社の枠を離れて活躍されている方も多いなと感じています。

 

広畑:
今の世の中副業が当たり前になってきていますが、自身が社長になった当時から、副業をするスタッフが徐々に増え始めてきていて、それはいいことだと捉えていました。音楽に関する副業であれば、それは会社にとってもプラスだよねと。

 

塙:
私自身も記事を書いたり、CDやレコードの解説書いたりしています。ユニオンのスタッフは、音楽業界の中でこんなことまでやっているんだと認知されていくことは、会社にもいい影響を与えているのかなと思います。もちろん全てのスタッフがやっているわけではないですが。DJをするスタッフは結構多いですね。コロナ以前で言いますと、週2、3回イベントで回したりするスタッフもいたりして、それも副業といえば副業にあたるのかと。

 

内沼:
今もそうであるかはわからないのですが、スタッフの方はお店の中古品は買えないとお伺いしたことがあります。

 

広畑:
そうですね、今も買えません。 それによってうちに入らない方も結構いらっしゃると思います(笑)

我々の経営理念には、「店舗はお客さまのためにあり」というものがあって、お客さまを最優先しましょうと。

 

内沼:
さきほどおっしゃられていたDJのスタッフの方たちは大変ですね(笑)。ユニオンで買えなかったどこで買えばいいのだと。実際、みなさんどうされているのでしょうか。

 

塙:
例えば eBay だとか海外から買ってる方が多い印象です。あとは、親しい業界の方に頼んで、「こういうのが入ったらお願いします」といった感じで、横のつながり強いスタッフが多いこともあってか、個人の繋がりを活用しているのだと思います。

 

内沼:
eBay の話が出ましたが、さきほど社長もおっしゃったように、C2Cもそうですし、競合といえるプレイヤーが増えてきていると思います。その中での戦い方と言いますか、どのようなポジションを取っていこうというお考えでしょうか。

 

広畑:
結局は、豊富な知識を持つスタッフを抱えていて、良い商品の仕入れを続けていくことだと思っています。同業他社がこれだけ出てきたり、ネットが普及し個人間の売買が進んでいますが、専門性を持ってきちんとやっていけばそんなに難しくはないのかなと。

 

内沼:
いままでも、これからも、根本的には変わりはないと。

 

広畑:
そうは言っても、CD やレコードのモノ自体のシュリンクは避けられないというところで、社内で言っているのは、制作小売業をやっていこうということです。

自分たちでいいモノを作って、いいモノ自分たちで売っていこう。それが今後20年で目指す我々の姿です。現在も音楽レーベルをやっていますけれども、例えばその数をどんどん増やしていくことなのかなと思ってます。

そこで良質な音楽を制作していくことによって、10年後、20年後に、良質な中古品として、リアル店舗の方に戻ってくるという循環ですよね。現状は、そこまで規模として大きくないけれども、制作のウェイトを高めていくというのは、今後の1つの流れになっていくのだろうと考えています。

 

ディスクユニオン発の音楽レーベル「DIW」

 

 

内沼:
現状ではそこまでウェイトは高くありませんが、バリューブックスも近々はじめての出版を行う予定です。また、バリューブックスとしては自社だけでなく出版業界、本にまつわる全体の循環を考えていきたいと思っています。例えば、インディペンデントな本屋さんに対して、バリューブックスが古本の卸を軸に協業するようなことから発展させていくイメージです。日本のさまざまな地域に、本屋が継続して運営できるような小さなインフラのような存在になること。その店が成長し、循環を生んでいくことに並走し、その本屋が長く地元に愛される店になっていく、みたいなことに小さくとも寄与できるといいなと考えています。

 

広畑:
そうですよね。我々もそうですが、自分たちだけの店舗を持って、すべて自分たちでやる、という時代が終わりつつあるのかなと。さまざまな業種の方たちと協業する時代になっているのかと感じています。

バリューブックスさんは、バスで色々回ったりされているじゃないですか。 あれにすごい興味があるんです。今回の取り組み以外に、そういった部分でもぜひご一緒したいなと思っています。

 

内沼:
ブックバスならぬ、レコードバス。とてもいいですね。野外音楽フェスなどに出店して、レコードも本も売るみたいな。いろいろなイベントに一緒に出たりしたいですね。我々としても引き続き、協業を重ねることができれば幸いです。

 

 

 

ディスクユニオンxバリューブックス コラボキャンペーン開催!
本をまとめて売って、オリジナルトートをプレゼント

 

 

今回、音楽本の価値判断についてもプロフェッショナルであるディスクユニオンと、総合古本買取のバリューブックスがコラボレーションし、古本買取&プレゼントキャンペーンを実施いたします!

音楽本であればディスクユニオンの基準、その他の本はバリューブックスの基準での査定を、協同で実施することで、みなさまのお手持ちの本をまとめて高額で買取をすることができるようになりました。

そして、今回の企画を通して本をお送りいただいた方全員にイラストレーターの「川原瑞丸」さんのイラストが入った、オリジナルトートバッグをプレゼントいたします。

 

この機会に音楽本・その他のお手持ちの本をまとめて、バリューブックスへお送りください!

*バリューブックスを通して買取させていただいた音楽本は、後にディスクユニオンの店頭での販売を予定しております。

 

 

川原瑞丸 1991年千葉県生まれ。書籍や雑誌の挿絵や装画を中心に活動中。
装画に「太陽と乙女」(森見登美彦・新潮社)、「これでもいいのだ」(ジェーン・スー・中央公論新社)、「メイド イン 十四歳」(石川宏千花・講談社)、挿絵に「「ビートルズの語感曲づくりにも共通する遊びの発想」(小島智・DUBOOKS)、「ヤング・アダルトU.S.A. ポップカルチャーが描くアメリカの思春期」(長谷川町蔵・山崎まどか共著・DUBOOKS)など。

 

 

  • 応募方法

売りたい本をダンボールにまとめたら、バリューブックスご利用初めての方は無料会員登録後、二回目以降の方はログイン後、買取申込みページにてキャンペーンコードをご入力ください。お申込みいただいた方全員に、「オリジナルトートバッグ」をプレゼントします!

 

  • キャンペーンコード

DUVB217

 

  • 応募締切

2021年10月31日まで(お一人様1回限り)

※トートバッグは、お申込みから約1ヶ月で発送いたします。

 

  • お申込みはこちらから

https://www.valuebooks.jp/sell

 

今回のディスクユニオンとバリューブックスの協業に関して、詳しくはこちらの記事をご覧ください!

https://www.valuebooks.jp/endpaper/9389/

 

 

posted by 神谷周作

愛知県生まれ。
都内にてウェブメディアを運営する企業に勤めたのち、愛猫と一緒に上田に移住してきました。
趣味は、レンチキュラー印刷がされたグッズの収集。

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