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2020-11-17

納品書のウラ書き vol27 「あと1冊で本当にやめるから!煙草の代わりになる(かもしれない)本たち」

 

バリューブックスの本を購入していただいたお客様にお届けしている「本の納品書」
その裏面に掲載している編集者・飯田による書評「納品書のウラ書き」のバックナンバーを公開します。
納品書のウラ書きにまつわる詳しいストーリーはこちらをご覧ください。

 

——

はぁ、また値上げか。え? 「煙草なんてわざわざ不健康を買ってるだけ」ですって? 返す言葉もございません。でも、煙をくゆらせながら味わう一服は、どうにも手離れしなくて。

そうだ、煙草の代わりに本でも読もう! 煙草への悲喜交交を綴った文人たちのエッセイ、吐き出す煙が似合う大学の先輩、絶望的事態を招いた喫煙の悲劇。これで一安心、と思いきや、読書に触発されて口と手がわなわなとうずき出す。よし、次で本当に最後にしよう……

 

 

『もうすぐ絶滅するという煙草について』

開高健、夏目漱石、筒井康隆、他39人著(キノブックス)

開高健、夏目漱石、筒井康隆など、総勢42人の作家たちが煙草への思いをたぐりよせたエッセイ。たんなる煙草礼讃ではない、煙のように儚く消えそうな個人的回想が味わい深い。

 

 

 

『幼女と煙草』

ブノワ・デュトゥールトゥル著(早川書房)

一見かわいらしいタイトルですが、その実は煙草が引き起こす悲劇を描いたブラックユーモア小説。善意と悪意が暴力的に溶け合った近未来の姿に、ちょっと身震いしてしまいます。

 

 

 

『シガレット&チェリー』

河上だいしろう著(秋田書店)

大学デビューだ!と意気込んで乗り込んだ先には、煙草が似合う美しい先輩が。たどたどしい恋のアプローチに僕の心臓がドキドキしてしまうのは、きっと煙草のせいだけじゃないはず。

 

 

 

『グッド・バイ』

太宰治著(新潮社)

本書に収録の「美男子と煙草」。少年ホームレスたちが煙草をふかす様に、太宰は人間が手放せない性質を見出します。最後、妻に自分と彼らを見間違えられてしまうのはご愛敬ですね。

 

 

 

『掃除婦のための手引き書』

ルシア・ベルリン著、岸本佐知子翻訳(講談社)

表紙に写る煙草を指に挟んだ女性は、著者のルシア・ベルリン自身。彼女の波乱を飲み込んだ人生が色濃く反映された物語たちは、どれも哀しく、タフで、本当に美しいのです。

 

posted by バリューブックス 編集部

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