本拾う人の読書録 2025年7月|「本と茶 NABO」スタッフコラム
2026-07-02
2026-07-02
2026年6月6日|安曇野ちひろ公園 | だれかの「ニコっ!」

初夏の安曇野。ちひろ公園の緑のなかに、この日だけのちいさな本屋さんが、6つ並びました。
店主は全員、子どもたち。
「いくらにしたらいいかな」と真剣に考えながら値札を貼って、「これ、おすすめだよ!」と声をかけて、売れたら全力ダッシュで補充して——。大人がやるのとまったく同じことを、子どもたちは自分の力でやりきりました。
それが、「こどもほんや」です。



「車・船・電車・飛行機——乗り物の本だけを集めた本屋をやりたい!」
計画の段階からそう話してくれていた子がいました。
「いろんな人が楽しめる本屋にしたい」 という思いから生まれた、テーマ型の本屋さんです。
当日は、鉄道好きが歓喜するような電車の本をはじめ、乗り物にまつわる本をそろえて丁寧に陳列。それだけでなく、店先を通りかかった友達を引きとめ、おすすめの1冊を紹介するという積極的な接客もしていました。
乗り物好きなちいさな子や、そのお母さんとも自然に会話が生まれ、選書をほめてもらえたそうです。
ふと気づくと、売り場の片隅でじっと本を読み込んでいる姿も——。小学校で図書委員を務めるほどの本好きさん、さすがです。
イベントを終えて、その子はこう振り返りました。
「お客さんのニーズをつかんで、明るく接客したから達成できた!」
目標金額も、しっかり達成。計画から接客、そして振り返りまで、全部自分の言葉で語れるのが、すごいと思いました。

「どうやったら手にとってもらえるかなぁ、どうしたら買ってもらえるかなぁ」
こんなふうに、お客さんの気持ちや目線を想像しながら準備を進めた子もいました。
その甲斐あって、1冊売れるたびに——全力ダッシュ。補充のために何度も走り回る姿を、お母さんがこんな言葉で届けてくれました。
「1冊売れては1冊補充するために全力ダッシュ!一生けん命な姿もステキでした!」
「いろんな並べ方をしたから」と達成の理由を話してくれたその子。終わったあとには、「次はもっといろんな人に買ってもらえるようになりたい。またやりたいな!」と笑顔を見せてくれました。

子どもたちみんなが手に取れるような本をそろえたいと考えた子は、本選びと並んで看板づくりも楽しみにしていました。
そのお母さんからは、こんな応援メッセージが届いていました。
「本が好きな娘が、さまざまな本やお客さんとの出会いを通じて、世界が少し広がってくれることを楽しみにしています!」
子どもが自分の好きなものを誰かに伝える場所。こどもほんやは、そういう場所でもあるのだと、あらためて感じました。

運営スタッフとして初めてこどもほんやに携わったメンバーは、こんなことを話してくれまし
た。
「始まってしまえば、どう接したらいいかなんていう考えはすぐにどうでもよくな
りました。素直で無邪気で、準備中に気づいたら本を読んでしまっている子、いく
らにしたらいいか一生懸命考えて値段を決めていた子、売れなくて気落ちしてしま
っている子……。いろんな姿がありました」
トラブルが起きても、子どもたちは自分たちで考えて解決策を出す。大人はなんでも手出し口
出しせず、ヒントを出すだけ。それがこどもほんやのスタイルです。

最初に売れなくて落ち込んでしまった子が、終わり間際にお客さんが来てくれて目標を達成
し、笑顔で報告しにきてくれた瞬間——。
「あの優しい笑顔は忘れられません」
子育てがひと段落したというそのスタッフにとって、子どもたちと過ごした時間は、懐かしく
て、あたたかくて、かけがえのないものだったそうです。


6人の子どもたちが開いた、6つの本屋さん。売上合計は 21,170円。
でも、この日の豊かさは、金額じゃ測れません。
本を選んだ時間、値段を考えた時間、お客さんに声をかけた時間、売れてうれしかった時間、補充のために走った時間——。そのぜんぶが、子どもたちにとって本物の体験でした。
だれかのニコッが生まれたとき、自分もニコッとなる。
その連鎖が、安曇野の初夏の公園に、やわらかく広がった一日でした。






こどもほんやは、子どもたちが本を仕入れ・値付け・接客・販売までを自分でやりきる、バリューブックスの本屋体験プログラムです。
▶出店イベント
だれかの「にこっ」
インスタグラム:https://www.instagram.com/darekanoniko/
posted by 中村 聖徳
バリューブックスで働きながら、音楽関係の仕事を兼業中。
バリューブックスに入ったきっかけも、音楽仲間を通して。
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