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2024-07-06

B Ambitious for Good ともに紡ぐ新たなページ 【新代表取締役 鳥居希からのメッセージ】

 

2021年、バリューブックスの代表取締役は創業者の中村大樹から清水健介へ交代しました。そこには、個人的な価値観やライフスタイル、会社の置かれた状況によって、戦略的に社長を変えていく、というポジティブな理由がありました。その結果、この3年間でバリューブックスの売上と利益は共に着実に上昇しました。

そして、バリューブックスが創業17周年を迎える2024年7月より、新たに鳥居希が代表取締役に就任します。

社長交代についての詳しい経緯や、これからバリューブックスが挑戦していくことについては、ほかの役員を含めた「座談会」として記事をリリースする予定です。

その前に、約300人のスタッフへ向けた、鳥居のメッセージをここに掲載します。

バリューブックスでこれまでどんなことをしてきたのか、そしてどんな思いで代表取締役になったのか。

バリューブックス初の女性社長として、鳥居希は会社の未来をこう考えます。

 

※社内向けに出したメッセージを、そのまま転載したものです。

 

撮影:西田香織/提供:B Market Builder Japan

 

みなさん、お疲れ様です。7月から新しく代表取締役になります、鳥居希(とりいのぞみ)です。

まずは、会社を創業し、発展させてきたすべてのみなさまに、心からお礼をお伝えしたいと思います。

そして、15期から17期(2021年7月〜2024年6月)までの3年間、たくさんの試行錯誤と葛藤をへて生産性をあげる環境をつくり、直前の大きな赤字から継続的な黒字への転換をリードしてきた健介さん、本当にお疲れさまでした。

一緒に働いていて、本当にみんなのことを大事に、真剣に考えているんだなあということがよりわかる3年間でした。たくさん話をしたけど、そこで語られる以上のプレッシャーを抱えた3年間だったのではないかと思います。パンデミックの影響も残るこの大変な3年間に、社長を務めてくれてありがとうございました。

 

さて、今後は、その時々の課題に対応し、注力することを目的として、3年に1度程度のスパンで役員構成を変更していく方針となりました。ここから3年の代表就任にあたって、どんなことを考えているか、お伝えさせてください。少し長くなります。

 

まずは簡単な自己紹介から。

バリューブックスは2007年に創業、私は2015年7月に入社しました。

証券会社での経験を経て、地元である長野に戻り、次の仕事を考えている中で、バリューブックスの人たちと出会い「この人たちと同じ船に乗りたい!」「バリューブックスがもっと良くなったら、きっと社会はもっと良くなる!」と思って入社させてもらいました。

発送や査定など倉庫の仕事を教えてもらった後、寄付の担当として、どうしたら買取率が高くなるか電話対応を含めていろいろ試し、だんだんと会社やチャリボンのことを社外で話す仕事もするようになりました。

2016年からB Corp(ビーコープ)のプロセスにも取り組み、財務関係も資金繰りの部分を担当しています。2020年春くらいから始まった新型コロナ大流行の有事には、新型コロナ対応の責任者として、たくさんの人と一緒に対策を行ってきました。なんとか乗り切れたのはみなさんのおかげだと、今これを書いていて改めて思います。ありがとうございました。

 

B Corpは、ビジネスをよい社会のための力として使うしくみであり、ムーブメントです。

新型コロナ対応をしつつ、B Corpのプロセスを進め、更には仲間を増やすために、社内外たくさんの人たちと協力しあって『B Corpハンドブック よいビジネスの計測・実践・改善』(日本語版)をバリューブックスから出版したのが2022年6月。

バリューブックスがB Corpになるまであと一歩ですが、このプロセスを通して見えてきたことがあります。

「バリューブックスは、利益を追求しながら社会と価値を共有する取り組みをたくさんしているけど、日本のジェンダーギャップの課題をそのまま社内で反映していないか?」と。

 

突然ですが「Boys, be ambitious.(青年よ、大志を抱け)」ということばを聞いたことありますか?これは、札幌農学校(現北海道大学)のクラーク博士が言ったとされている有名なことばです。

中学生の頃に北海道に行った時、クラーク博士の銅像を見ながらこのことばを聞き思ったこと、それは「は?ボーイズ?ガールズは?」。

なんで「ボーイズ」だけなんだ、と猛烈に怒ったことを覚えています(現代の解釈は置いておき)。

更にさかのぼると、子どもの頃、近所には男の子しかいなく、野球に混ぜてもらうことができずに無理やり退散させられ「みい(と自分を呼んでいた)も大きくなって男の子になったら野球をやる!」と暴れていたそうです。なぜか大人になったらみんな男になると思っていたようです(なんか。。。怒ってばかりの子どもですね)。

 

これらは子どもの頃の経験ですが、大人になってもやはり男女(だけではありませんが)の差は感じて生きてきました。それが、「この会社がもっと良くなったら、社会は良くなる」と思って入ったはずのバリューブックスでも起きていることを、日々の営みの中で、またB Corpのプロセスを通じて気づいたのが、ここ数年です。

 

例えば、数値的な結果に直接影響しないと見られがちな仕事について、評価の対象になりにくいということ。

評価については、各チームでの評価結果を出した後、全体のバランスを見るために役員が確認をしています。その中で、特にケア的な仕事を女性がしていることが多く(全部ではありません)、その仕事に対して評価の対象となってないと感じることが何度かありました。

実例をあげてサポートして評価を正せたこともあれば、評価をあげるほど十分ではないという見方に対して否めないこともありました。それが続いたある日、シャワーを浴びながらそのことを考えていたら、めちゃくちゃ悔しくて涙が出てきたんですよね。でもそれが何に対しての悔しさなのかははっきりわかりませんでした。自分になのか、違う意見になのか、本人たちになのか、はたまた世の中に対してなのか。

 

一方で、うしろめたさを感じながら生きているのも事実です。明らかに特権を得ているから。バリューブックスでの時間を含めて、これまでの人生のいろんな場面でがんばってきたとは思いますが、でもそれができたのは、1. チャンスがあったから 2. そのチャンスを得たときに生かせる環境だったから。それが積み重なってしまった。嫌われるかもしれませんし、今となっては恥ずかしく思いますが、証券会社で働いていた時は「自分ががんばったからここにいる」と思っていました。当時は自分の努力や成果が直接的に評価され、昇進や報酬に結びついたと錯覚してしまっていたのです。その後リストラになって、がんばってもどうにもならないことがあることを経験しました。バリューブックスに入ってそれまでとは違う景色が見え、更にB Corpを通じていろんなことを知るようになって、今は考えが変わりつつあります。

 

私たちが生まれる前から積み重なった偏った構造を、私たちは引き継いでしまっていると思います。

 

そして、その構造的な偏りは、本人の力だけではどうにもならないギャップを生み出していると思います。

女性である私が代表取締役になるというチャンスを、みんなで生かしたい。

それぞれの状況や抱えてきた/ 抱えているもの、考え方、ほんとうにさまざまだと思いますが、それらを超えてよい道を一緒に探っていきたいし、できると信じています。

「こんなにたくさんの人がお互いのことを考えている会社で挑戦できなかったら、どこで挑戦できるんだろう?」と本気で思っています。

2024年7月からの新たな1ページに、私たちの物語を一緒に紡いでいきましょう。

 

近日中に、もう少し具体的なことをお知らせします。

どうぞよろしくお願いします。

 

鳥居希

 

 

 

posted by バリューブックス 編集部

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