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2021-10-28

納品書のウラ書き vol39 ディスクユニオンが選んだ音楽が聴きたくなる本

 

バリューブックスの本を購入していただいたお客様にお届けしている「本の納品書」
その裏面に掲載している書評「納品書のウラ書き」のバックナンバーを公開します。
納品書のウラ書きにまつわる詳しいストーリーはこちらをご覧ください。

 

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音楽 CD・ レコード販売買取の 専門家であるディスクユニオン。 現在、ディスクユニオンとバリューブックス が協業し、買取キャンペーンを実施しています。 音楽のプロフェッショナルであるディスクユニオンに 選んでいただいたのは、読み進めていくうちに、不思識とリズムが頭に鳴り響てくるような本たち。読み 終えたらなんだか音楽が聴きたくなってしまいます。

 

 

演歌は日本の伝統、日本人の魂だなんて言う人いるが、本当にそうなのか?伴奏 は全て洋楽器、西洋の音楽理論を用いて作られたレコード歌謡が、なぜ日本の伝 統になってしまったのか、よくわかる一冊。古賀メロディ=演歌のイメージを決 定付けたのは森進一の「影を慕いて」であるとか、藤圭子を筆頭にしたビクター の演歌キャンペーンで演歌という言葉が広まったなど、多くの人の持つ演歌のイ メージと史実は異なる。現在我々が持つ演歌=伝統は後年に作られたイメージな のだ。とはいえ、藤圭子の「新宿の女」聴いていると、沁みるなぁ。

創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後衆音楽 

輪島祐介著(光文社)

 

 

 

「音楽が聴きたくなる本」。色々あるなと思いながら、最初に頭に思い浮かんだの がこの1冊。ど直球な音楽評論本である。この本の魅力は、何度も聴いた曲であっ てもあらためてリズムに気を付けて聴き返し、確認してみたくなる点だ。J-POP を新鮮に捉えられるうえに、これまでのJ-POP 史論では対象とならなかった楽 曲まで見事に掬い上げ論じており、幅広いリスナー層に届きそうな納得度の高さ がある。世代によるものもあるとは思うが、2000 年代後半あたりから流行りだ

す BPM の速い四つ打ちロックに関する部分を興味深く読んだ。

リズムからえる J-POP史 

 imdkm 著(blueprint)

 

 

 

 

色川武大は真面目な大遊び人だ。映画、演芸、音楽、ギャンブルと様々な娯楽を 往還してきた氏の鑑賞態度はかなり冷静な観察に基づいていたように思う。特に 演芸に関する文章は噺家の表現の背景を精緻に分析する趣があった。しかし、最 晩年のエッセイとなる本作は、楽曲やアーティストに対して肩ひじ張らずに氏の 感じたままが表現されており、近所のジャズ好きのおじさんが語っているような、 親しみやすい文体になっている。長年の遊びの感性と筆の歩調がちょうどかみ 合った瞬間の文章は氏のセッションの完成形だったのかもしれない。

えば天国ジャズソング 命から二番目に大事な歌   

色川武大著(筑摩書房)

posted by バリューブックス 編集部

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