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2021-08-31

納品書のウラ書き vol39 寄せては返す、ときには身を委ねながら

 

バリューブックスの本を購入していただいたお客様にお届けしている「本の納品書」
その裏面に掲載している書評「納品書のウラ書き」のバックナンバーを公開します。
納品書のウラ書きにまつわる詳しいストーリーはこちらをご覧ください。

 

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バリューブックスが活動する長野に越してきて、はや4年。同僚から疑われていますが、こう見えて(どう見えて?)僕はサーファーボーイでした。海の近くで育ち、放課後や休日はボードをかついで海へ。波に乗るのはもちろん、ちゃぷちゃぷと揺られるだけでも心地よいのです。「お母さんの胎内にいるようなもんだから」と語る先輩サーファーの言葉にも、うなずきたくなります。夏も盛りの今、「波に揺られる」ことをテーマに本を選んでみました。ページをめくりながら、様々な波に出会ってみてくださいね。

 

 

 

スージー・リーの描いた波の絵本は、何才からだって楽しめるはず。だって、この本には一切の言葉が出てこないのだから。ひとりの少女が、おそるおそる海へと近づいていきます。勇気を出して足を踏み入れ、無邪気に波と戯れていると、バッシャーン!と水しぶきにたしなめられることも。まるで波とダンスするかのようにはつらつと動き回る少女。その姿を見ていると、自分がはじめて海を見たときの驚きと感動がよみがえってくるようです。

『なみ

スージー・リー著

 

 

 

写真家・ホンマタカシ。彼は、ライフワークとしてハワイのオアフ島ノースショアーの波を撮り続けています。その期間は、本書が刊行された時点で10年以上。この写真集は、2013年にニューヨークで開催された個展に際してまとめられたものです。「どれも同じ波の写真だ」とは言いがたい力を持った写真たち。だって、否応なしに波は一瞬一瞬で形を変え、同じものなどないのだから。

 

『New Waves 2000-2013

Takeshi Homma(Longhouse Project)

 

 

 

 

著者の水野英莉が、いち社会学者として、いちサーファーとして、サーフカルチャーの中で女性が出会う差別、抑圧、葛藤を丹念に紡いだ1冊。「サーフィンは男のもの」として、女性は抑圧されてきた。それは明確な差別に限らず、ときには「女の子として扱ってあげる」という親切さを伴いながら。著者の研究と実体験が溶け合った本書、読了後には「Just Surf(ただ波に乗る)」という言葉の重みと力強さを改めて実感させられました。

ただ波に乗る  

水野英莉著(晃洋書房)

posted by バリューブックス 編集部

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