EndPaper

本に触れる。
その小さなきっかけを届ける
ウェブマガジン。

2020-04-02

捨てたくない本

 

古本の買取を行うバリューブックスには、毎日約2万冊の本が届きます。そのうちの半分は、インターネットでの販売を通じて次の読み手に届くのですが、残りの半分の1万冊は、古紙回収にまわってしまっています。

インターネットでの販売につながらないということ。それは、その本自体の価値とは別に、マーケット上での需要と供給に大きく影響を受けています。

差し出す場所、方法を変えれば、まだまだ多くの読者に届く余地があるはず。なるべく多くの本を、言葉をまとった「本」という形のままで次の読み手につなげたい。

そんな思いから、「捨てたくない本」プロジェクトは始まりました。

 

 

このプロジェクトですくい出される本は、古紙回収にまわる本全体と比べれば、ほんの一部です。

それでも、そうして次につながる機会を増やしていくことが、自分たちにとっても、本にとっても、よりよいことだと信じています。

小さな活動かもしれないけれど、捨てたくない、という思いを大切に抱えながら、これからも進んでいきます。

 

─────

 

本を捨てないために、こんなことをしています

 

 

Valuebooks Lab

捨てたくない本を、格安で販売するアウトレット本屋。文庫本3冊100円、単行本1冊50円、写真集や絵本などの大型本は1冊100円でお届けしています。かつてのベストセラーや、貴重なアート本が眠っていることも。ときおり、ほかの本屋さんも仕入れに訪れますが、それも大歓迎。捨てられるはずだった本に価値を見出して、新たな循環につないでくれる方が、多く来店してくれています。

https://www.facebook.com/valuebookslab/

 

関連する記事

捨てちゃう本で作った本屋

 

アウトレット本屋でプロのせどりを見よ!

 

 

─────

 

 

 

古紙になるはずだった本

なるべく本を捨てずに、本のまま、活用する機会をつくりたい。バリューブックスの「捨てたくない本」に賛同してくれた無印良品で、「古紙になるはずだった本」と題された本の販売プロジェクトが始まりました。古典文学、アートブック、エッセイや旅行記など、無印良品が選んだ様々なジャンルのいい本たちが並びます。

実施店舗

無印良品 銀座
https://shop.muji.com/jp/ginza/

無印良品 直江津
https://www.muji.com/jp/ja/shop/detail/046607

無印良品京都山科
https://shop.muji.com/jp/kyoto-yamasina/

無印良品シエスタハコダテ
https://www.muji.com/jp/flagship/share-star-hakodate/

 

 

─────

 

 

 

ブックギフト

学校、病院、老人ホームといった様々な施設に本を寄贈する、ブックギフト。スタッフの子どもが通う保育園といった身近な範囲での取り組みを中心としつつ、災害に見舞われた各地の避難所へ本を届けたりと、本を必要とするあちこちの場所で活動しています。

 

関連する記事

学校にブックバスがやってきた!380人の生徒へ本をプレゼント

 

 

─────

 

 

 

VALUE BOOKS ECOSYSTEM

バリューブックスに届くたくさんの本を分析してみると、一部の出版社の本はほとんど古紙回収にまわらず、また次の読者に届けられていることが分かりました。長く読み継がれる本をつくる出版社に、私たちが本を販売した時の売上の一部を還元することで、出版業界によりよい循環が生まれるのではないだろうか。そうした思いで始まったのが、VALUE BOOKS ECOSYSTEM です。

協力出版社:
アルテスパブリッシング
英治出版
トランスビュー
夏葉社

https://www.valuebooks.jp/vb10th/project3

 

 

─────

 

 

捨てられた本のゆくえ

 

 

本が命を終えるとき —古紙回収のゆくえを追う—

本を捨てないための活動も大切だけど、そもそも、古紙回収にまわった本はどうなっているのだろう。その実態を自分たちの目で確認するために、静岡の製紙工場を訪れました。本が新しい紙へと再生していく様子は、つらいものでもあったけれど、本が真っ当に扱われていることを実感する体験でもありました。そのレポート記事をあげていますので、ぜひご覧になってみてください。

https://corporate.valuebooks.jp/endpaper/report/recycled-paper/

 

 

VALUE BOOKS CORPORATE SITE

posted by 飯田 光平

株式会社バリューブックス所属。編集者。神奈川県藤沢市生まれ。書店員をしたり、本のある空間をつくったり、本を編集したりしてきました。

BACK NUMBER