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2024-12-16
2018-06-09
こんにちは! 古本の買取・販売を行っている、バリューブックスの編集部です。 バリューブックスでは、毎日1万冊以上の本を売り買いしています。
本の業界に精通したプロとして、この記事では「文庫本」について解説していきます。
文庫本とは、単行本が刊行された後に、サイズを小さく低価格にして販売される叢書(そうしょ)のことを言います。
単行本として刊行された作品の内、人気作品をさらに広く普及させるために、数年後に文庫版として発売されるケースが多いようです。
単行本よりも、より広い読者層をターゲットとしているため、手に取りやすいサイズ感や価格帯に設定されています。
単行本の内容から加筆されることや、あらすじや作者の解説、あとがきなどが加えられていることが多く、単行本+αの要素もありますよ。
文庫本のサイズは、A6判(148✕105mm)で、スーツやコートのポケットにも入るくらいの大きさです。
電車の中やちょっとした空き時間に読書を楽しみたい人の中には、小さくて持ち運びがしやすいため、文庫本を好む人も多いのではないでしょうか。
漫画にも文庫本があるのをご存知でしょうか。
過去に単行本として刊行された漫画が、文庫版コミックスとして販売されています。
漫画の文庫本は、単行本よりも収録話数が多いものがほとんどのため、手頃な価格で揃えることができるでしょう。また、完結済みの作品がほとんどで、新しい作品だけでなく、単行本では入手しにくい70年代や80年代の名作も多いようです。
単行本のサイズがB6判(128✕182mm)や四六判(128✕188mm)なのに対し、文庫本のサイズはA6判(105✕148mm)と単行本よりも一回り位小さいです。
単行本には、ハードカバーとソフトカバーがありますが、文庫本はすべてソフトカバーとなります。
小さくてソフトカバーの文庫本は、片手でも読みやすいサイズと言えますね。
また、単行本に比べ文庫本は安価で手に取りやすい価格設定となっています。
サイズもそうですが、より多くの人に普及することを目的として文庫本は作られているため、価格も単行本の半額以下の場合が多いです。
参考記事:単行本とは?文庫本との違いやサイズ、漫画でいう単行本について
文庫本と新書では、サイズが異なります。
新書は新書判というサイズになり、文庫本よりも縦に長い印象で、文庫本と比べると装丁もシンプルなものが多いようです。
また、文庫本のジャンルは小説や古典などの文芸書が多いですが、新書は専門分野の解説や入門書が中心です。
新書は、政治や経済、学問、社会時評など、特定の分野の知識をインプットしやすいという特徴があります。
文庫本 | 単行本 | 新書 | |
サイズ | A6判 105✕148mm |
B6判、四六判 128✕182mm 128✕188mm |
新書判 105✕173mm |
ジャンル | 小説・古典・詩集 | 小説・エッセイ・ ビジネス本 |
専門書・学術書・ 実用書・啓発本 |
製本の種類 | 並製本(ソフトカバー) | 上製本(ハードカバー) 並製本(ソフトカバー) |
並製本(ソフトカバー) |
特徴 | ・普及を目的として刊行された小型の叢書 ・もともと単行本として出版されていたものが文庫化することも多い |
・単独で刊行される本 ・小説、エッセイ、ノンフィクションなどジャンルは様々 ・新聞や雑誌の連載をまとめたもの、新作として書き下ろされたものもある |
・様々な分野の入門書が多い ・文庫本より少し大きい叢書 |
本が好きな人なら「単行本派」と「文庫本派」に分かれることも多いでしょう。
それぞれに良さがありますが、ここでは文庫本を選ぶメリットについて見ていきます。
文庫本のメリットは、なんといっても小さくて持ち運びしやすいサイズ感でしょう。
ソフトカバーなので、軽いですし、片手で読むこともできます。家でじっくり読むことも、外出先の空き時間に読むこともできるサイズが魅力です。
カバンの中に入れてもかさばらず、コートやスーツのポケットに入れることもできるため、文庫本の持ち運びのしやすさは、本の中では一番と言えますね。
文庫本は、ほぼ同じサイズのため、収納もしやすいでしょう。高さがないので、ちょっとした空きスペースに収納することもできますよ。
(文庫本はすべて同じサイズではなく、たとえば岩波文庫やちくま文庫と比べ、文春文庫は数ミリ大きく、ハヤカワ文庫はトールサイズといってさらに数ミリ大きいです)
本棚以外にも、収納ケースに入れて、ベッドの下などに収納する人もいるようです。
単行本のようにかさばる大きさではないため、省スペースで収納できることも、文庫本のメリットと言えるでしょう。
単行本にはなく、文庫本のみに収録されているあらすじや解説があるのをご存知でしょうか?文庫本の裏表紙には、あらすじが書かれているものが多いため、初めて手に取る人も内容を簡単に理解し、本を選ぶことができます。
文庫本には、作家自身の解説やあとがきなどが収録されていることも多いため、贔屓にしている作家の作品は、単行本も文庫本も読みたいというファンもいるようですよ。
単行本が新作として刊行されるのに対し、文庫本は人気の高い作品が数年経てから発売されることが多いため、単行本と同じ内容でも発売されるのにタイムラグが生じます。
まれに、単行本と文庫本を同時に発売することもありますが、一般的ではありません。
文庫本として発売されるのは、単行本の発売日から1~3年後位のタイミングが多いようです。
現在、文庫本は様々な出版社から刊行されています。それぞれの特徴を見ていきましょう。
https://www.shinchosha.co.jp/bunko/
「新潮文庫」は1914年(大正3年)に創刊された、現存する文庫の中で最も古い歴史を持ちます。新潮文庫の本には、スピン(しおり紐)がついていることが最大の特徴でしょう。
葡萄のマークも新潮文庫の象徴で、葡萄のつるが「SL(Shincho Library)」の形を象っています。
https://www.iwanami.co.jp/bun/
「岩波文庫」は1927年(昭和2年)に、より多くの人々が手軽に学術的な著作を読めるようになることを目的として創刊されました。
ドイツのレクラム文庫を模範としていて、岩波文庫のすべての巻末には「読書子に寄す」という理念が記されています。表紙の唐草模様と裏表紙の壺のマークも印象的です。
https://www.kadokawa.co.jp/category/bunko/
「角川文庫」の創刊は1949年(昭和24年)です。当初は文芸路線を掲げ、近代日本文学の他、古典や外国文学などを取り扱っていました。
しかし、1970年代後半からは「大衆路線」へと大きく路線を変更し、推理作家やSF作家の作品を多く刊行しました。
小説を原作にした映画も製作し、メディアミックスされている作品が多いことが角川文庫の特徴ではないでしょうか。
https://www.gentosha.co.jp/s/bunko/
「幻冬舎文庫」は、1997年(平成9年)に創刊された、比較的新しい文庫レーベルです。
創刊時に、一挙に文庫本62点、350万部という前代未聞の点数を同時刊行したことで話題となりました。一般的な文庫本よりも少しサイズが小さいという特徴も持ちます。
幻冬舎文庫は、老舗レーベルとは違ったエンターテイメント中心のラインナップや、「アウトロー文庫」などのジャンル性の強さも特徴的です。
純文学から時代小説、ミステリーなどのエンターテイメント、随筆や実用書まで、幻冬舎文庫の扱うジャンルは、他の文庫レーベルよりも幅広いことがわかるでしょう。
小さくて低価格なため、単行本よりも気軽に手に取りやすい「文庫本」。
話題となった作品を読みたいと思う人や、映像化された作品の原作を読みたい人なども、単行本よりも文庫本の方が手に取るハードルは低く感じるのではないでしょうか。
電車の中やカフェなどで、さっと読める大きさも魅力的ですね。
普段本をあまり読まない人も、文庫本なら気軽に手に取ることができますよ。
裏表紙のあらすじも参考に、文庫本を選んでみてください。
posted by バリューブックス 編集部
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