EndPaper

本に触れる。
その小さなきっかけを届ける
ウェブマガジン。

2023-04-13

バリューブックス・エコシステム|新たにミシマ社の参画が決まりました!

 

古本が売れたときにも、作り手に還元できれば、よりよい本の循環が生まれるのではないだろうか、という思いではじまった「バリューブックス・エコシステム」。

新たなパートナー出版社として、ミシマ社さんに参画いただくことが決まりました!

 

 

”本が本の形のまま”循環することをめざして

 

私たちの主な事業は、インターネットを介した古本のリユースです。古本の買取と「チャリボン」という寄付のプログラムによって古本を集め、それを販売しています。

毎日 約2万冊を超える本が届き、それをひとつひとつ、人の手で査定していますが、その基準はインターネット上での需要に基づいています。
必要以上の量が市場に存在して、値崩れしてしまっているものには、残念ながら値段をつけることができません。

 

 

私たちは、それらの値段がつけられなかった一部の本を、小学校や介護施設などへ本を寄付する取り組みである「ブックギフト」や自社でのアウトレット店舗の運営、提携企業での販売を行うことで、”本が本の形のまま”次の読み手へ繋げていくための活動を「捨てたくない本」プロジェクトと名づけて、最大限リユースしようと試みています。

また、古紙回収に回るはずだった本たちから、再生紙をつくり、再び本の形に生まれ変わらせる「本だったノート」の製作も2021年から始まりました。

しかし、そうして可能な限りの手を尽くしても、日々古紙回収に回っていく本をなくすことはできません。

 

たしかに、日本の古紙回収の仕組みや再生技術は世界でもトップレベルで、それらの本は、新しい紙として再利用されています。ですが、それは本としての生を絶つことです。私たちは、毎日、大量の本を載せて古紙回収所へと向かうトラックをながめながら、「できる限り、リサイクルに回す本を減らしたい」と考えていました。

 

 

バリューブックス・エコシステムのはじまり

 

そんな中、私たちは市場で値崩れしにくい本ばかりをつくっている出版社の存在に気がつきました。過去のデータを出版社別に調べてみると、送られてきた本のうち、90%以上という高割合で、値段をつけて買い取ることができる出版社があることがわかりました。
これは、他と比較してとても高い数字です。

そこで私たちは、それらの本を売って得た利益の一部を、出版社に還元させていただくことにしました。

値段がつけられず、リサイクルに回す本の多くは、短期間で消費され、多くの人に手放され、市場にあふれてしまったものです。
一方、リユース率が高い出版社がつくっている本は、長期間にわたって多くの人に必要とされ、読み継がれている本であるといえます。

私たちの本社は、長野県上田市にあります。買取や寄付の送料は、私たちが負担して、お客様から送っていただいています。その中に、値段のつかない本が多く含まれていれば、
そのまま古紙リサイクルに回してしまう本を上田まで運んでいることとなり、余計なコストがかかるだけでなく、環境にも負荷を与えていることになります。

私たちは、本のリユースによって利益をあげています。願わくは、すべての出版社に利益を還元させていただき、本の生態系(エコシステム)をつくっていくことが、私たちの理想です。

 

 

より多くの出版社が、長く読み継がれるような本をつくってくだされば、
輸送で環境負荷をかけることもなく、リサイクルに回されずに、本として生まれたものを、リユースによって生かし続けることができます。

持続可能な世界に近づいていく一助になるよう、私たちはこの試みを4社の出版社と共に、2017年スタートしました。

そして、2023年4月新たな出版社としてミシマ社の参画が決まりました!ここで、ミシマ社の三島邦弘さんからコメントをいただいたので、ご紹介したいと思います。

 

 

2017年にお声がけいただいた時は、「お金の生かし方」がわからず、いったん保留としました。今回、参加をこちらからお願いしたのですが、それは「エコシステム」でいただくお金を、個人が独立して書店を開業されるときの「仕入れ」の資金に使っていただくことにしたからです。具体的には「捨てないミシマ社基金」を設け、そこで貯まったお金を、使ってもらう予定です。バリューブックスさんとの取り組み、楽しみでなりません!

 

 

バリューブックス・エコシステムのしくみ


毎年、出版社別のリユース率*を算出し、その数字が90%を超えている出版社のうち、パートナーになってくださった出版社に対して、私たちが彼らの出版した本を売って得た売上の33%を還元させていただきます。還元させていただいたお金の使途は、各パートナー出版社に委ねています。著者に還元する出版社もあれば、よりよい出版活動のために生かす出版社、社会貢献のために使う出版社もあります。

私たちはパートナー出版社の本を、可能な限り高値でお客様から買い取ります。各パートナー出版社が出版した本も、他の古書店に流れてしまえば、出版社に還元することができません。多くの金額を還元し、よりよい循環を生んでいくために、できるだけたくさんの本を私たちのもとに集めたいと考えています。

 

リユース率*:バリューブックスのもとに送られてきた本のうち、値段をつけて買い取ることができた本の割合のこと

 

バリューブックス・エコシステム参画出版社

株式会社アルテスパブリッシング

英治出版株式会社

株式会社 トランスビュー

​​夏葉社

株式会社ミシマ社

 

posted by バリューブックス 編集部

BACK NUMBER