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2023-04-20

漫画だったノート、雑誌だったノート|古紙になるはずだった漫画・雑誌からできたノート

 

このノートは、古紙回収にまわるはずだった本たちから生まれました

 

オンラインを中心として、本の買取・販売を手がける株式会社バリューブックスには、1日に2万冊もの本が全国から届くものの、そのうちの約半分、1万冊は値段をつけることができず、買い取れずに古紙回収へとまわっています。

回収された本は、古紙となり、再生紙として生まれ変わります。それは古紙リサイクルという、ひとつの完成された循環の形ではあります。けれど、日々大量の本が本としての意味を失っていくのを見ているうちに、「なにか、自分たちにもできることはないだろうか」という思いが募っていきました。

 

そして昨年、「本だったノート」が生まれました。もちろん、単にまとめて古紙回収に回すほうが、合理的な側面もあります。けれど「本だった」再生紙をつくり、多くの人に使っていただくことができたら、本の価値やその循環について考えるきっかけを生み出すことができるのではないか、と私たちは考えました。

 

 

本だったノートができるまで:https://www.valuebooks.jp/endpaper/8167/

 

 

まず第一弾として、文庫本から再生された「本だったノート」をつくりクラウドファンディング・全国の書店での販売を実施したところ、想像を上回る大きな反響をいただきました。
それを受けて今回、新たなラインナップとして生まれたのが、漫画と雑誌からつくられた「漫画だったノート」「雑誌だったノート」です。

それぞれのノートの原料となる「本だった紙」には、「漫画だった」「雑誌だった」記憶が残されたかのような欠片が混ざっていることがあります。

その欠片は、ノートとしての利便性だけを考えると不要な、むしろ邪魔なものかもしれません。しかし、「本だった」この紙がそれぞれどこからどのように生まれここにあるのか、その流れに思いを馳せながら使っていただきたいという思いから、あえて漂白をしない紙づくりを行なっています。

 

漫画だったノート、雑誌だったノートができるまで

 

 

再生紙抄造のプロフェッショナル、山陽製紙にて漫画と雑誌を原料に、紙づくりを実施
漫画だった紙、雑誌だった紙づくりがスタート

 

 

記事トップにもなっているこちらの画像、シクナーと呼ばれる強大なミキサーにかけ、原料となる漫画や雑誌が溶けていく姿に心を痛めつつ見守ります

 

 

乾燥などのプロセスを経て、漫画だった紙、雑誌だった紙が完成

 

 

印刷は長野県松本市の藤原印刷にて実施
「濃度合わせをしない印刷」により、予測できないグラデーションが生まれるクリエイティブと、調整用の紙が必要なくなるエコとを両立させることができることに

 

 

漫画だったノート、雑誌だったノートの表紙は本だったノート同様、イラストレーターの太田真紀さんが素敵な形にデザインしてくださいました。

 

 

漫画だった、雑誌だった記憶が残るノート

 

先に述べたように、それぞれのノートには、本だった記憶が残った欠片が混ざっています。

 

漫画だったノートの本文ページ。トーンの欠片などが散らばっている。

 

 

雑誌だったノートの本文ページ。雑誌を色取るインクの欠片が散見される。

 

 

 

製品情報・販売先について

 

漫画だったノート、雑誌だったノートは、森岡書店 銀座店での先行発売から始まり、全国の書店に取り扱ってもらえるよう準備を進めています。
2023年7月発売予定となるため、また正式な発売日など詳細が決まり次第、アナウンスできればと思います。

書店様へ:「一冊!クラブ」を介して流通を予定しています。ミシマ社との直取引(請求書払いの掛取引)をすでに行っている書店様は、そのままご注文いただけます。
https://1satsu.jp/club/

 

 

 

 

 

 

posted by 神谷周作

愛知県生まれ。
都内にてウェブメディアを運営する企業に勤めたのち、愛猫と一緒に上田に移住してきました。
趣味は、レンチキュラー印刷がされたグッズの収集。

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