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2018-06-08

本好きにはたまらない、新しいスタイルの地方の古書市

地方の古書市

 

こんにちは。ライターのふじたです。

みなさんは、古書市へ行かれたことがありますか?古書市は、通称「古本市」とも呼ばれ、商業施設や広場などで、昔から様々な形で開催されています。

近年では「ブックイベント」とも呼ばれるような、新しいスタイルのものも含め、全国的にその輪が広がりつつあります。フェス的要素も加わり、「古書」とは縁遠かった世代にも人気のあるイベントとなりました。

中でも地方の古書市は、遠方から足を運ぶ方がいるほど、盛り上がりを見せているようです。

今回は、地方の古書市によく出向くという、バリューブックスの小野村さんへのインタビューも交えつつ、本好きを虜にする新しいスタイルの地方の古書市を中心にご紹介します。

 

そもそも古書市って?古本市との違いは?

 

本題に入る前に、そもそも「古書」と「古本」の違いは何なのでしょうか? そのおおまかな意味を確認しておきましょう。

【古本】 中古品ではあるが、新品も流通しており、一般的な書店で手に入る本。

【古書】 絶版となっており、新品が手に入らない本。

 

実際は、上記のように使い分けられることもある一方、ほぼ同じ意味として使われることもあるようです。

「古書市」と名の付いたイベントでも、上記の「古本」と「古書」が混ざって販売されていることがほとんどです。実際、古書市は「古本まつり」と呼ばれているものも多いです。

 

 

古書市の魅力

 

古書市へ足を運んだことがある方なら、その特有の空気感はご想像できるかと思います。多くの古書市では、本のジャンル制限を設けていないこともあり、出店者の数だけ本のバリエーションがあります。

地方であれば、車を何十分も走らせて本屋巡りをするのは大変ですので、一度にたくさんの本屋さんを巡れることは、古書市の最大の魅力ではないでしょうか。

例えば、同じ本が店によって見せ方や値段が違っていたり、出店者の本への思い入れを聞き出せたり、といったことも楽しみのひとつになるかもしれません。公園や商店街など、開放的な空間で行われていることもあり、古書ビギナーの方も気軽に参加しやすい雰囲気を持っています。

 

 

地方の古書市をおすすめするワケ

 

わざわざ地方の古書市に足を運ぶには理由があります。

そのひとつに、地方ならではの特性を活かしていることが挙げられます。

とくに、湖畔のキャンプ場や、酒蔵の点在する街中など、土地のメリットを最大限に活かした、コンセプチュアルで開放感のある新しいスタイルの古書市は、多くのお客さんを惹きつけています。

古書市 古本まつり

そして、主催者によって雰囲気がガラリと変わるのも、地方の古書市ならではの魅力。

地元のおじいちゃん、おばあちゃんとの出逢いがあったり、特定のジャンルの本だけを並べている本屋がいたりと、良い意味で期待を裏切る出逢いが待っています。

 

 

新しいスタイルの地方の古書市

 

さて、地方の古書市について、私なりの見解を書き進めてきましたが、プロの本屋の意見も聞いてみたいと思いますよね。

今回はプロの本屋であるバリューブックスの小野村さんが行かれたことがあるという、地方の古書市についてインタビューしてみました。

そこで名前の挙がった、オススメの新しいスタイルの古書市を3つご紹介します。

 

《富山県》BOOK DAY とやま

公式ページはこちら → BOOK DAY とやま

 

富山県で年に1度だけ開催される本を中心としたイベントです。

bookdayとやま

北陸のみならず、県外からも多数の書店やレコード店が一堂に集結します。本以外にも、映画上映会やトークショー、さらには音楽ライブなど、フェス的要素をたっぷり含んだ古書市のため、若いお客さんが多いのも特徴です。

各ブースは、実に個性豊かで、自作のリトルプレスやZINEを出品する方もおり、作家と直接話せるのも魅力のひとつです。

当日は、富山県内の古本屋を網羅したマップが配布されるので、イベントで出逢った店を後に訪れるといった楽しみも生まれます。

 

《山梨県》こうふのまちの一箱古本市

古書市古本まつり

公式ページはこちら → こうふのまちの一箱古本市

 

新しいスタイルの古書市として、いまや全国的に広がりを見せつつある「一箱古本市」。その名のとおり、様々な人たちが一箱分の本を出品して売るイベントです。

山梨県甲府市内の商店街で開催されている一箱古本市では、毎年多くの出店者が参加します。個人での出店が可能なこともあり、さながら本のフリーマーケットのような賑わいを見せています。

古書市古本まつり

なんといっても、ダンボール一箱分という出店スタイルがユニークで、出店者の思いが詰まった一箱が会場いっぱいに敷き詰めらた光景は圧巻です。中には、売りたくない(見せたい)本を持ち寄る方もいたりと、本への思い入れやエピソードが詳しく聞けるのも一箱古本市の面白いところです。

 

《北海道》大麻銀座商店街ブックストリート

公式ページはこちら → 大麻銀座商店街ブックストリート

 

北海道の大麻銀座商店街で行われている古書市。こちらの最大の魅力は、約2,000冊の古書がすべて、たったの100円で販売されていることです。

この取り組みが実現したのも、地域の方が読まなくなった本をNPOに寄付したことが始まりなのだそうです。

こちらの古書市には、バリューブックスのブックバスも訪れており、本の循環へと一役買うことができたそうです。

 

 

古書市は想定外の出逢いがいっぱい

 

地方の古書市は、さまざまな出逢いに満ちています。

記憶に残る出店者、作家、地元の人、地域カルチャー。古書市に訪れた日は、まるで本を1冊読み終えた時のような充足感を味わうことができるかもしれません。

思い出と一緒に本を買うことができる古書市に、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

posted by バリューブックス 編集部

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