2025-08-28

#Books For Nature|読み終えた本で、自然を支える vol.4 ― NPO法人エバーラスティング・ネイチャー インタビュー

 

この夏、バリューブックスでは「本」と「自然」をつなぐキャンペーンをはじめます。

バリューブックスの姉妹サイトであり、本の買取を通じて寄付ができる仕組み「チャリボン」をご存じですか?

チャリボンでは、本の買取金額を社会課題に取り組むNPOなどの団体に寄付することができます。

 

 

今回は、自然にまつわる分野で活動する4つの団体をピックアップし、それぞれの取り組みをご紹介します。

あなたの読み終えた一冊が、自然保護に取り組む団体の力になる。

本棚に眠る一冊が、自然を守る力になるとしたら──。

そんな思いでお届けするのが、#BOOKS FOR NATURE。

 

自然と触れ合うことが増える夏。

「本を送る」ことで支援が届く先のひとつ、ウミガメ保全を中心に活動を続ける「NPO法人エバーラスティング・ネイチャー(ELNA)」をご紹介します。

 


 

本と海をめぐる旅のなかで

 

 

「砂浜に刻まれたキャタピラのような足跡。それはアオウミガメが静かに産卵にやってきた証です。」

ELNAは、ウミガメや海洋生物の保全を通じて、自然と人との関係を見つめ直す活動を続けています。国内外での地道な調査と保護活動は、未来の海といのちを守る一歩でもあります。

 


 

小笠原からインドネシアまで──ウミガメを守る旅は続く

 

ELNAの設立は1999年。ウミガメやザトウクジラ、サンゴ類などの調査・保全に携わってきた創設者・菅沼弘行氏が、インドネシアの危機的なウミガメの状況を受けて立ち上げたのがはじまりでした。以来、小笠原諸島をはじめとした国内外で、ウミガメを中心とした海洋生物の保全・研究・啓発活動を続けています。

ELNAが大切にしているのは、「自然の回復力を信じること」。保護対象の生物そのものに手を加えるのではなく、人為的な影響(光害・乱獲・観光の干渉など)を減らし、環境を整えることで自然の力に委ねるというアプローチです。

また、現地の文化や暮らしを尊重しながら保全を進めていくことも大切にしています。ウミガメが「観光資源」であり「水産資源」でもある小笠原では、地域と共に守る意識が根づいています。

 


 

ウミガメの産卵ラッシュ、ボランティアもフル稼働

 

 

 

 

ウミガメは6月から7月にかけ産卵ピークとなり、8月が孵化のピークです。小笠原では昼も夜も、ウミガメたちのために奔走する日々が続いています。

今回は、ウミガメの産卵期にあわせて、その活動の様子を担当者に教えていただきました。

「7月半ばから、今年の赤ちゃんウミガメが続々と生まれてきています!
光害のある大村海岸では、ふ化した子ガメたちが街の明かりに引き寄せられ、海へ帰れなくなるため、産卵された卵は海洋センター内のふ化場に移動して保護しています。

大村海岸での産卵は5月から続いており、夜間の産卵パトロールやポスター掲示を通じて、ウミガメが安心して産卵できる環境を守るための活動もおこなっています。今年の産卵は8/11に最終確認をし、8月上旬でパトロールは終了しました。

今の時期は、母ガメのレスキュー通報対応や、来島者向けの普及啓発プログラム、さらには父島・母島列島での産卵モニタリング調査も重なり、まさに大忙しの季節です。

やること盛りだくさんで目が回りそうな毎日ですが、ボランティアさんの力も借りながら、みんなで頑張っています!」(小笠原・現地スタッフ)

保全のためには、地域の理解と継続的な取り組みが欠かせません。観光資源としてのウミガメと、絶滅危惧種としての保護。この両立のなかで、ELNAは現場での実践を重ねています。

近年は気候変動の影響も深刻です。孵卵時の砂浜の温度によって性別が決まるウミガメにとって、海水温や気温の上昇や異常気象が、生態系全体へ影響を与えるリスクになると懸念されています。

産卵場所となる砂浜の減少や、餌資源の変化も活動に影を落としつつあります。

 


 

いま直面している現場のリアル

 

ウミガメの保全活動の現場には、課題も山積しています。

世界遺産となった小笠原では来島者が年々増加し、街の近くの海岸で産卵するウミガメとの接触が急増。
ウミガメは非常に臆病な生きもの。フラッシュ撮影などの光に驚いて、産卵せずに海に戻ってしまうこともあります。

また、赤ちゃんウミガメは明るい方向へ向かう習性があるため、 街の明かりに誘引されて道路に出てしまい、命を落とすケースも──。

ウミガメは島の観光・食文化・保護の全てに関わる存在であり、その調和のためには、地域住民や関係者の理解と協力が欠かせません。
保全活動を継続的に行っていくには、丁寧な啓発やデータに基づいた調査・対策の積み重ねが必要とされています。

 


いただいたご支援は、こんなかたちで活かされます

 

皆さまからチャリボンを通じてご支援いただいた寄付金は、以下のような活動に活用されます:

・小笠原でふ化稚ガメ(赤ちゃんカメ)を光害から守る保全活動

・インドネシアでのタイマイの卵の盗掘防止と調査

・ウミガメ保全の成果を国内外に発信し、知見の共有とネットワークの構築

こうした活動は、まさに「BOOKS FOR NATURE」というテーマのもと、本を通じて自然を守る輪を広げる取り組みの一環です。

 


 

本をきっかけに、寄付がもっと身近になる

 

今回の「BOOKS FOR NATURE」キャンペーンでは、本を手放すという行動を、自然を守る行動に変えていくことがテーマ。

ELNAもまた、チャリボンに参加する中で、本が持つ力に大きな可能性を感じたといいます。

「自宅に眠っている本が、社会課題の解決に変わる仕組みはとても画期的。寄付文化が根づきにくい日本でも、チャリボンを通じて誰もが社会貢献と寄付を身近に感じ、参加できる点に、深い意義を感じました。」

 


 

小笠原海洋センターからのご案内

 

「小笠原は日本最大のアオウミガメ繁殖地。早朝には砂浜に、ウミガメの上陸した足跡がたくさん残っています。私たちが運営する『小笠原海洋センター』では、通年で飼育水槽の見学や体験プログラムも実施しています。ぜひ、美しいこの島を訪れてみてください。」

 

 


 

本を手放すことが、自然を守る一歩に

 

この夏は、あなたの「読んだ本」が、ウミガメたちの未来を守る力になります。

「NPO法人エバーラスティング・ネイチャー」への寄付はこちらから参加できます。

https://www.charibon.jp/partner/elna/

 

チャリボンを通じて、本と自然をつなぐ「BOOKS FOR NATURE」キャンペーンに、ぜひご参加ください。

 

posted by 中村 聖徳

バリューブックスで働きながら、音楽関係の仕事を兼業中。
バリューブックスに入ったきっかけも、音楽仲間を通して。
甥っ子の影響でおさるのジョージとヨシタケシンスケさんの「もう、ぬげない。」がお気に入り。

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