EndPaper

本に触れる。
その小さなきっかけを届ける
ウェブマガジン。

2024-08-06

本で地域とつながる。子どもたちによる、ライブラリープロジェクトが始まりました

こんにちは。
バリューブックス編集部の西尾です。

突然ですが、みなさんは「リトル フリー ライブラリー」をご存知でしょうか。

お店の軒先や個人宅の庭先に小さな本棚が置かれ、地域の人たちが自由に本を借りることができるこの取り組み。

子どもたちの読書習慣につながったり、住民同士の交流のきっかけとなるなど、コミュニティ貢献の側面にも注目が集まり、今では世界的な活動へと広がっています。

今回は、「そんなライブラリーを自分たちの街にも作りたい!」と動き出した子どもたちについてご紹介したいと思います!

 

ライブラリーづくりに挑戦するのはマイクロスクールに通う子どもたち

今回のプロジェクトを立ち上げたのは、東京・港区にあるマイクロスクール「GIFT School」に通う子どもたち。

興味のあることは、とことん探究してみる!をモットーに学んでいる異年齢のチームです。

プロジェクトの第一歩として取り組んだのが、この夏に行われた5日間のサマースクール。学校の近くにある複合施設とカフェの二箇所に、ライブラリーを設置するところまでがミッションです!

初日は設置場所に足を運び、直接お話しを聞いてみるところからスタート。

「いつも遊びに来ている場所だけど、お客さんはどんな人が多いのかな」「どんな本を置いたら喜んでもらえるのかな」

いろいろと質問を重ねるうちに、それぞれの場所が何を大切にして運営されているのかも見えて来ました。

次に、ヒアリングをもとに本棚の制作に取り掛かりました。

素材として選んだのは、農家さんからお店へりんごを運び、役目を終えた木製のりんご箱。

屋根と扉を打ち付け、みんなで考えたイメージ画をもとにペイントを施していきます。

原色そのままではなく、いくつかのいろを混ぜ合わせて作ったグリーンカラーがこだわり。

 

古紙回収にまわるはずだった「捨てたくない本」を活用

ライブラリーに並べる本は、バリューブックスの「捨てたくない本」から選びました。この日は新幹線に乗り込んで長野・上田の倉庫まで!

バリューブックスのスタッフからは、どうしても値段のつけられない本があり、古紙回収に回っていること。そして、一部でもいいから“本は本のまま活用したい”という気持ちがあることを伝えました。

子どもたちが、普段本を選ぶ基準は、自分が面白いと思うかどうか。けれども、今日は設置場所の方々に聞いたお話や、ライブラリーを利用する人たちを想像しながら選書しなければいけません。

たくさんの中から時間内に選び切ることができるか心配していたのですが……、本の山を目の前に「これもいいかも!」「これも、これも!」と、なかなか良いペース。

「大人が読んでわくわくするもの」「絵、色、言葉が美しいと感じるもの」「自然っていいな、という気持ちになるもの」。

選び方のポイントやリクエストを思い出しながら、スーツケースいっぱいに本を詰め込むことができました!

 

無事に設置完了。どなたもお気軽にご利用ください!

最終日は、出来上がった本棚と、厳選した本を持って、いざ設置へ!

「静かに本を読んでもらいたいから、本棚を置く場所は奥のほうがいい?」「でも、それだと人目につかなくて手に取ってもらえないかも」

悩みながら本棚を置く場所を決め、それぞれ自分が選んだ本を並べてみると……、うん、なんだかとてもいい感じ!

まるで前からそこにあったかのように、不思議と風景に馴染んでいます。

施設の方からもお褒めの言葉をいただきひと安心! これで、ミッションコンプリート!

 

今後はブッククラブとして継続的に活動していきます!

最後に、今回のコミュニティ・ライブラリー プロジェクトにはどんな思いがあるのか、改めて先生にうかがいました。

「GIFT Schoolのカリキュラムは、学校の中だけで完結させるのではなく、積極的に外に出ていくことを大切にしています。

実際に街にでて、何が起きているのかを知り、そこにいる人と触れ合うこと。これは、子どもたちにとってかけがえのない学びです。

このライブラリーをきっかけに地域の方とどんどんつながっていきたいですね」

翌日、設置場所の方から「いろんな人が興味を持ってくれてるよ」と早速連絡があったのだそう。これからどんな出会いと展開が待っているのか、とても楽しみです!

「GIFT School」では、これを機にブッククラブを結成。月に一度本の入れ替えやメンテナンスなどを、子どもたち主体で行っていく予定です。

活動の様子は、下記のアカウントにて更新していきますので、ご興味のある方はぜひのぞいてみてくださいね。

GIFT School Book Club

*港区・渋谷区近隣で、もしライブラリーの設置にご協力いただける方がいらっしゃいましたら、InstagramのDMよりご連絡もお待ちしております。

 

 

【現在のライブラリー設置場所】

ののあおやま
https://nonoaoyama.com/
東京都港区北青山3-4-3

都会の真ん中にありながら、自然や人の営みを感じることのできる場所。まちづくりの拠点としての役割も担う「まちあいとおみせ」では、多様な人々が集う場であることを考え、年齢・国籍・ジェンダーに関わらず「人の五感に響く本」「自然にまつわる本」を選び並べています。

 

 

Matilda Coffee & Vegan Bakes
https://www.instagram.com/matilda_coffeeandveganbakes/
東京都渋谷区神宮前3丁目42−11

こだわりのコーヒーとヴィーガン&グルテンフリーの焼き菓子が評判のスタンドカフェ。周辺で働く人がふらりと立ち寄ったり、下校・降園の時間帯は、親子で訪れるお客さんも多いそう。「大人もわくわくした気持ちになる本」や「親子で読める絵本」が選書テーマです。

 

【GIFT School】

東京・港区にある、3-14歳の異年齢混在のバイリンガルマイクロスクール。少人数で、それぞれの子どもに合わせた個別の学習、プロジェクトをベースとした集団の探究学習を行ってる。新しい教育の選択肢としての「オルタナティブスクール」を掲げる。

https://gift-ed.org/  
https://www.instagram.com/g_i_f_t_school

posted by 西尾 清香

雑誌編集者として長らく活動した後、WEB制作会社を経て、現在はバリューブックスが運営する移動式本屋「ブックバス」の企画を担当。憧れだった“本屋で働くこと”が叶って幸せです。

BACK NUMBER